「っおいチビ!何処行くんだよ!」
「君には関係ない所だよ。もう着いて来ないでくれるかい」


アラジンの冷たい声にジュダルはびくりと体を震わし、追いかけていた足を止めた。
ジュダルは「アラジン……」と切なそうな声を出すが、呼ばれた本人は歩みを止めず、高級そうな車に向かって歩く。
不意にアラジンがジュダルに振り向いた。すると、ぽいっと小さな折りたたんだ紙をジュダルに下から投げた。
それを慌てながらも落とさずに受け取る。これはなんだとアラジンを見るが、もう既に車に乗り、発車していた。
必死に手を伸ばすジュダルだが、届くはずもなく、行き手を失われた掌はだらりと下に下げられた。


「なんなんだよ……。いきなり見送りに来いとか言ったくせに、言うだけ言ってどっか行きやがって……ッ」



『おいチビ。俺のもんになれ』
『……誰だい?君』
『はぁ!?俺のこと忘れたのかよ!ったくしゃあねえな……。俺様はこの学園を統べるジュダル様だ』
『じゃあジュダルくんだね!で?僕は君のものにならないといけないのかい?』
『ああ。俺のものになれ。いや、もう俺のもの決定な』
『うーん。まあ反抗する理由もないし、いいよ。僕は君のものだ』


『ジュダルくんジュダルくん。君は僕のことが好きなのかい?』
『ああ?……誰の入れ知恵だ』
『僕もジュダルくんのことが好きだよ!両想いだね!』
『う……。そ、だな』


『ジュダルくん。僕たちは今日、これをもっておしまいにしよう』
『は、何言ってんのチビ。つかなんだよその格好。どっかのお坊ちゃんみたいな恰好しやがってよ』
『……とにかく、今日で僕たちの関係は終わりだ。さよならジュダルくん。楽しかったよ』
『っおいチビ!何処行くんだよ!』



「やっと……、やっと俺のもんにできたと思ったのに……!」


ダンッと老廃したビルの壁に拳をぶつけた。
ジンジンと痛む手なんか気にもとめず、何度も何度もぶつける。
無心に壁を殴っていたジュダルは、たらりと拳から血が流れると、ようやく正気に戻ったのか舌打ちを一つして今まで殴っていた壁に背を預けた。
上を見上げると、青が広がった。その青で笑顔のアラジンを思い出し、そのアラジンでアラジンが投げた紙を思い出した。殴っていない方の手を広げると、折りたたんである紙が出てきた。
それを広げると、ジュダルは目を見開いた。


『ごめんなさい。助けて』


「アラジン……ッ!」
「生贄になる覚悟しちゃったんだー……」
「紅覇!?」
「私もいるわよジュダルちゃん」
「紅玉!」
「俺達もいるっての!」
「なんで……」


紅覇、紅玉、アリババにモルジアナ。そして……


「助けに行くのだろう?」
「バカ殿まで……」
「行こうじゃないか。アラジンを助けに」
「っああ!」


こうして、生贄となるアラジンを助けに、ジュダル達は立ち上がったのだった。



続!





「どうどう?アラジン?」
「うんいいねピスティさん!でも最後の方手抜きじゃないかい?」
「あー、やっぱり?じゃあ修正したらまた持ってくるよ」
「楽しみにしてるよ!」

「あ?」
「どーしたのー?ジュダルくーん」
「いや、なんか悪寒が……」
「風邪ひいたんじゃない?」
「それはてめえの格好だ、紅覇」
「ジュダルくんひーどーいー」


−−−−−−
また変なものが出来上がった……。

20130129
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