ここは海だろうか。 体が沈んでいくのがわかる。 普通だったらもがいて、足掻いて、上を目指すだろう。 しかし、俺はもうそうする必要がない。もがいても、足掻いても、上を目指しても、地上には誰もいないのだから。 あの方は言った、私に生涯を尽くせと。でも、その人はもういない。もう、どこにも。 とんっと背中に何かが当たった感触がした。 底に着いたのだろうか。 確かめる術がない俺は、もう用無しだろう。どこにいてもきっと邪魔なだけだ。 この世に生を受けて18年。あの方と共に過ごして約13年。 俺はすごく、幸せだった。 |