混戦状態に陥った。
敵か味方か分からない戦場で、俺達は最前線に出て戦う。
奴隷は使い捨ての駒だ。どう使ってくれても構わない。こんな化け物、早く死ねばいいのに。
次から次へと人を切り殺し、殴り殺し、八つ裂きにする。
そんな戦場はいつしか、何度も見た血の海になっていた。
主人は無事だろうか。キシキ達も無事だろうか。俺はどうなったって構わない。あの人たちだけは、どうか。


それから二ヵ月にもおよび、隣国との戦争は続いた。
多くの人が亡くなり、僅かな人が涙を流した。
監禁されていた女子供も最終的には殺されてしまい、生き残ったのは使用人数名、奴隷三名、国民十数名。
これだけしか生き残らなかった。
主人は死んだ。俺を庇って死んだ。何故庇ったのだろう。死人に口無しとはこういうことだろうか。
それから俺も死んだはずだ。だから主人が命を張って助けてくれたのに、死んでしまった馬鹿者の衣類に書かれた遺書を読んでいるのだろう。
貴方なら見つけてくれると信じていた。奴隷の俺に頭下げようとしたバカ王よ。キシキとギュロ、キキョウは元気かい?


「ああ、元気だとも。もっとも、お前がいたならばもっと元気だっただろうがな」


そう言ってシンドバッドは机の引き出しに、キリマの衣服をしまい入れた。



End...?

prev next


- ナノ -