夏ばて


「・・・・・なーなー、カズ、夏ばてってなんだ?」

「うめえのか?」

「食えたらこええよ、ルフィ。まあ肉が有りゃ元気になるお前ニャ
 一生無縁な症状っつーことは確かだよ。 
 あー、そっか、チョッパーは冬島生まれだから知らねえんだな?
 ほら、アラバスタで砂漠越えしたときによ、
 すっげーあつかったろ?ああいう日がずっと続くと、
 あそこで食べたサンドラカゲのステーキみたいな
 ボリュームがあったり重たい料理をだんだん身体が受け付けなくなっちまうんだよ、
 気分的にな。だから、ほら、こないだゾロが食べたいって言ってた
 そーめんみたいな、冷たくてサラサラ食べられる料理ばっかり
 食べたくなるんだよ。でも恐ろしいことに、動きたくなくなるせいで、
 太ったり体力が落たり
 おっそろしいことになるもんだから女性の敵なんだよな。
 だからあえて、暑い日に暑い物や鍋物をたべて
 スタミナを付けるっつー救済策があるわけだ。オーケー?」

「なるほどー。でもサンジがいるからならないな」

「だなー、コック様々だ」

「よくわかんねーけど、暑くてたいへんなんだな」

「もういい、ルフィ、お前黙ってろ」

「なんでだよー!」

「ったりめえだろうが、お前ら。俺がこの厨房を守っている限り、
 誰であろうと栄養バランスや健康にゃ女性陣
 程じゃないにしろ(おい!)気を遣ってやってんだ。
 たとえ賞味期限が過ぎたもんでもしっかり調理して(こら!)」

「・・・言い返せないのがかなしいよ、カズ、ルフィ」

「にっしっしっし、まあ、うめえからいいだろ」

「まあまあ、二流コックのかはくはおいとけおいとけ」

「誰が二流だ!」

「姐さんがいってたぜ?豪華客船じゃ二流コックはいても
 一流コックは乗せねえんだとさ。
 一流コックってのは自分の腕に絶対の自信があるもんだから、
 はなから乗客の心理とかなんざ考慮しネエで、
 最初から決めて有るとおりのコース料理しかださねえんだと。
 乗客からすりゃ、軽く夏ばて状態だったり飽きがきてたりすると、
 なんか別の物が食べたくなんのに、平気でフランス料理を出してきたり
 するから苦痛でしかなくなるわけだ。
 でも二流コックだったら、自分の感性で今日はそろそろこうだから、
 こうしようって料理法を勝手にアレンジしたりがらって
 メニューを変えたりするもんだから、返って乗客は喜ぶんだとさ」

「・・・・・」

「え、じゃあサンジって二流コックだったのか?」

「サンジの飯はうめえんだから、いちりゅうでいいだろ?」

「なーに落ち込んでんだ、兄ちゃんよ。
 おめえはいわゆる創作料理の部類に位置するコックなわけだから、
 さっき言った一部地域の料理限定で腕をふるう一流のコックとは
 土俵が違いすぎるだろうが、普通に考えて」

「!・・・・あ、当たり前だろ、オレを一介の料理人とくらべんじゃねーよ、カズ!」

「何この理不尽」

「サンジ、腹減ったー!飯ー!」

「今日はなんだ?」

「期待してろよ、お前ら!」

「おー!」

「やったー!」

「・・・・朝から何はしゃいでるの?あんた達」

「落としてあげるのが効果的な訳よ、こういう場合」

「なんという無駄と好きのない計画!」




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