第46話

アサギ食堂は、力自慢の海の男達が満足すると銘打ってるだけあって、定食からおなじみの定番メニューから、明らかに標準となる量がおかしい。器がそもそも2回り大きいってどういう事.。ちょっとしたどんぶりじゃねーか。並盛りと大盛りが同じ値段って採算あうのかよ、大丈夫かと心配になる。大盛りメニューもやってたけど、完食できないと罰金10000円ってきっついなあ。並べられたメニューの一覧と下に置かれた写真に目移りしてなかなかきめらんねえ。どれがいいかなあ。どうせなら、大盛りをひとつ頼んで、みんなでわけ合えばいいんだろうけど、みんな味覚が違うし、だれかのこしでもしたら残飯処理は俺だ。オーダイルは大食いだけど、好き嫌いがあるから、完全にあてにするわけにはいかない。一回どえらいことになったから。まあ、いっか。みんなに選んでもらおう。あとは財布に相談かな、と俺はみんなを呼び出した。アサギ食堂は殆どの客が船乗りたちばかりで、ポケモンと一緒に食べるのは普通みたいだからありがたい。レストランとかだと、一般の人を考慮してダメな所も多いから。事前に連絡は必須。ポケモンセンターのグルメブクは地味にありがたかったりする。

B級グルメの店は始めてらしく、目を輝かせているオーダイル。あ、バルキー、お前対抗意識燃やさなくていいからな?ほら、と差し出したメニューに、みんな覗き込む。一斉に指をさされた。ものの見事にばらばら。とんかつ定食、カレーライス、オムそば、えーっと、丼物?ゴローニャ、どっちかにしろよ、どっちもはむりだろお前。いっつも食い過ぎて気持ち悪そうな顔してんじゃねーか。

「食える程度にしとけよ。残すのは失礼だしな」

お客だからはおこがましい。こういうのは、やっぱり俺みたいに残飯処理係がいた方がいいんだよな。お持ち帰りは不可みたいだし、残すのが普通だと思われると店が潰れちまう。
もうちょっとしぼりこめ、お前ら。特にヨルノズクは俺の手を借りないとあれな部分があっから、そこんとこよろしく。ピチューはまだまだ知らない食べ物が多すぎて、俺と一緒で待機組だ。流石にこの量は食えねえだろう。こらこら、暇だからって背中よじ登るな、重いっての、首が折れる!べりべりとはがして、横に座らせた。

しばらくして、ようやくみんな決まったらしい。すいませーん、と俺は店員を呼んだ。





店員に用意してもらった小皿にちょっとずつみんなのぶんを寄せ集めて、ピチューに渡す。ようやくまともにスプーンを使えるようになったピチューは、オムライスのケチャップがお気に入りらしくせがんでいた。やっぱりピカチュウ系統は好きなのかね?こらこら、バルキー困ってんだろうが。つか、ゴローニャすごいね、お前.食うのだけは早いよなそんなに入らない癖に。はやくくれ、とせがまれ、俺はもういっかいちぎってヨルノズクに渡す。あー、くそ、ふきんが一つじゃ足りねえ。あれ?周囲を見渡すと、オーダイルが見当たらない。あたりを見渡すと、ふらふらと匂いにつられてカウンターにいた。あのあほ!


ちょっとよだれをたらしている。お、どうした?とカウンターで豪快に海鮮丼を食べていた船乗りのおっさんが声をかけていた。うっわ、はずかしい!いやしいことすんじゃねーよ、お前!ちゃんとご飯あげてねえみたいじゃねーか!だから特盛りにしとけと。俺は慌てて席を立つと、そっちに向かった。

あ、つまみ食いをしようとしてやがる!やめんか!でも、おっさんは笑うばっかりで注意してくれない。あ、喉に引っかかってぺってした、もったいねえ。あっはっは、とおっさんは笑う。どうやらわさびを入れてたらしい。オーダイルは辛いのが苦手だ。なんか変なものをおっさんは食べているとでもでもいいたげな様子で、マズそうな顔をしている。自業自得だ、ばーか。


「すんません、オイラのオーダイルが」

「おお、坊主のポケモンなのか。無理もねえさ、俺もちっせえころにはおこぼれにあずかろうと、おやじのあとくっついて強請ってたもんだ。アサギ食堂はつい足が向いちまうからな、やめられんもんさ。どのメニューも力がつくからな、あっはっは」


でも、つまみ食いはだめだ、わかったろう?とおっさんは笑う。怒った顔で唸っているオーダイルは、ブスッとした顔でそっぽ向いた。こっちを見てニヤッとしたおっさんが視線を投げるので見ると、おっさんの仲間らしい船乗りのおっさんたちが笑っていた。


「すいません、ジャンボお好み焼き追加してください」


口をあんぐり開けて、口をガチガチならしているオーダイルを背に、俺はうなだれた.。






ダークシー。かつて、アサギシティ近海の海はそう呼ばれていたらしい.。暗礁が多くて、流れが早く、電化の整備がなかなか進まず、光の届く距離の短い灯台があるくらいだったため、夜になると正しく真っ暗だったからだ。船にとって欠かせない航路標識がなく、船乗りたちに恐れられていた。やがて海運の発展がススムに連れて、作られたのがアサギの灯台、別名輝きの灯台だった。かつてその役割を果たしたのが、デンリュウのあかりだったらしい。灯台が自動化されるまで、長きにわたってその遠くまでとどく光と特有の波長でアサギの海を守り続けてきたデンリュウは、今はその役目を終え、もっぱら観光のために現役を続けているとのこと。

ですよねー、じゃないとなんという長時間労働。労働基準法がポケモンに適用されてるのかどうかは知らなけど、やっぱり大変だろうし。ポケモンを閉じ込めてとか、どーよ?とか思ってたけど、やっぱり部外者の素人考えじゃたかが知れてるなあ。口にしなくて良かった良かった。

今でも、アサギの自動化された灯台で採用されている光源は、デンリュウの明かりを参考にしたものがつかわれているとのこと。ずっと灯台は一般公開されている。基本的には有料らしいが、アサギシティの灯台だけは、代々ジムリーダーがデンリュウの保護後見人を務めてきたため、今でも灯台の運営はそちらが行う関係で、全国でも珍しく、無料らしい。そういやあ、アカリちゃんはミカンちゃんからしかモノを受け取らないんだっけ?なんか歴史感じるなあ。もしもの事があったら、困るのは町の人達だったから、きっとずっと昔からの風習なんだろう。さすがはミカンちゃん。ジムリーダーがよくイベントを行うためか、腕試しにと全国からモノ好きのトレーナーたちがやってくるらしい。カーネルサーン!上部まで登って景色を楽しんだり、歴史や機能、役割を学べたり、映画の撮影で使われた当時のセットなどが安置された資料館や展示室を併設している他、デンリュウと触れ合えるらしい。最も今はデンリュウがとこに臥せっているため、中止らしいが.。デンリュウは、基本的に週に一度、嵐の時や冬の間は、電化された明かりよりもデンリュウの光のほうが水タイプのポケモンにとって目印になるとの理由から、船を出せない悪天候の時ほど駆り出されることもある。だから今なお、なくてはならない存在なのだとか.。

というわけで、デンリュウが病気だから船が出せないというわけじゃないらしい。数年前からアサギとタンバの航路上にあるうずまき島諸島のあたりで、濃霧が観測されるようになってから、らしい。うずまき島で霧がせるのはいつものことで、普通の光源だと遮られてしまっても、デンリュウの明かりだけは届くのが普通だった.。

しかし、現在も見えるあの霧は、少々性質が異なるとのこと。なんでも、デンリュウのあかりすら遮ってしまう謎の霧は人々を悩ませている人のこと.おかげでタンバ二行くには、大陸をぐるっとまわるか、危険ながら41番水道と42番水道をうずまき島を迂回するルートが使われているらしい.。なんと−難儀な.数年前からなら、あれだな、スイクンのせいじゃないな.ルギアかなー。やっぱり降臨イベントに向けてがんばってんだろうねえ、とおもうと少しワクワクした。うずまき島は、4つの島からなる島々で、複雑な海流を生み出し、いくつもの巨大な渦潮が発生している魔の海域.大きな船さえも岩礁が多くて近づけないため、基本的には腕試しのトレーナー、とりわけひでんマシンを習得させるほどの力量がある人間、以外は立ち入りはよした方がいいらしい。いやいや、俺もまだいいっての、レベル高いし。一応ジムリーダーの管轄らしい。どっちのよ。一般人は入ったことのない謎の多い島とのことで、いろいろ面白い話が聞けた.。

アサギシティの大人たちは聞き分けの無い子供を叱るときに、うずまき諸島に連れて行って置き去りにする、と怖がらせるらしい。海の神様がいらっしゃるうずまき島は、ポケモンにとっては楽園だけども、人間にとっては一度入ったら出られない恐ろしいところと子どもたちは教わって育つらしい。それは無謀な好奇心で、その流れの激しく複雑な海流のあるあぶない地帯に近づかないように、というずっと昔からの知恵。あー、俺もにたようなこと聞いたことあったなあ。夜になったら口笛を吹いたら人さらいにあうとか、夜遅くまで遊んでいると山の神様にさらわれるとか、悪いことをしたら川に置き去りにするとか。スッゲえ怖かった覚えがある。まあ、普通に考えて、本当に実行することはないんだけどな。




海を超えるつもりなのだと一言口にした瞬間、話をしてくれた船乗りのおっさんの仲間さんたちが、そーかそーか、とよってきた。オーダイルをつれてるからか、やめとけあぶねーよとはいわれなかった.。坊主をしっかり守ってやれよ、と叩かれ、オーダイルは頷いた.ほんと、頼むぜ、オーダイル。


「おれ、おっそろしい怪物の声聞いたことある!」

「怪物?」

「銀色の羽をもった、バカでかいポケモンを見たんだってさ。ほんとかねえ」

「海の神様がいらっしゃるしまだからな、やっぱだめなんだよな。自然を軽視しちゃ、しっぺ返し食うのは俺たちだ」

「だよなー、海の神様がお怒りなんじゃないか?」

「まあ、うずまき島に近づかなきゃ、穏やかでいい漁場なんだ。坊主、海神様にお参りしていけよ。.御加護がありますようにってな。罰当たりなことしなけりゃ、きっと守ってくださるさ」


りょーかい、と俺は笑った。なんでも41番水道を進んでいくには、しばらく整備されたアサギの海を南下しなけりゃいけない。その入江から海に出るまでは陸地に沿っていくんだけど、その先端の岬に小さな祠が祀られてるらしい。海の上からでも手をあわせて賽銭を投げ込んで、その真下のしめ縄のある大岩にもお参りを済ませた方がいいんだって。なるほどな。忘れないようにレポートに書き込んでいく。


「こんなちっせえのに、大した根性だな。普通のトレーナーは船に乗ってずーっと迂回すんのさ。まあ、一週間位かかるがね」

「へへ、海でしかいないポケモンもいるだろうから、頑張るつもりなんだ。じゃじゃーん、ポケモン図鑑。これ、完成させんのも、オイラの目標なんだ」

「ほー、こりゃまた珍しいもんもってんじゃねーか。見してみな」

「はい」

軽く使い方を説明すると、じゃあ「見たポケモン」の項目をふやしてやろうじゃねーか、とおっさんたちが持ってるポケモンを見せてくれた。ありがとう!

「それなら、もってこいかも知れねえなあ。なんせ、船の往来が止まってっから、ポケモンたちの大量発生が見られるって、海パン野郎どもが歓喜してたぜ」

「そういやあ、夜になったら、赤い光の集合体が見られるかもしれねえぞ?坊主。今はちょうど、スターミーとかヒトデマンが海面に集まってな、なんかシランが宇宙と交信してるとかなんとか」

「あっはっは、んなわけねえだろう!なんかしらんが、月の満ち欠けと潮の満ち引きは関係してるんだが、それとも関わってるらしいぞ。まあ、いっぺんみてみりゃわかるが、そりゃもう綺麗なもんさ。そういやあ、もうすぐランターンたちの繁殖期だな。黄色い明かりはランターンたちだ。覚えとくといいぞ」

「へー、すげえや」

「やめとけやめとけ、夜の海にでるなんざ、死ぬようなもんだぞ?水タイプのポケモンなら、方向を見失わず、タンバまでつけるだろうがなあ。坊主みたいに、初めてここの海を渡るんなら、やっぱり日中の気候の穏やかなときにいくのが一番だ。半日もありゃ、つくさ。そいつらはタンバの海で見られるからな、楽しみにとっとけ」

「わかった、ありがと」


やっぱり地元の人に聞くのが一番だ。するとようやくポケモン図鑑が帰ってきて、俺は早速確認した。おおお!20ひきもふえてる!


「いいもん見せてもらった礼に、これやるよ。もってけ」


ちりちり、と澄んだ音色が手のひらに転がる。渡されたのは、ぼろぼろの紐が結んである銀色の鈴だった。え?もしかして、大切なもの?!俺は思わず固まる。透明な鈴か?海鳴りの鈴か?前者ならホウオウ、後者ならルギアフラグ!あーでも、舞妓さん五人抜きしないともらえないはずなんだよな。どのみち、にじいろのはね、ぎんいろのはねが揃わないとホウオウもルギアも姿現さないしなあ。


「おいおい、どうせ渡すんなら、もっと綺麗な鈴渡してやれよ。きったねえなあ」

「なにいってんだ。十何年もずっと安全に海に出られんのは、これのおかげなんだ。いいじゃねーか」

「あっはっは、だめだろ。カミさんからもらった大切な鈴だろうが。怒られちまうぞ?」

「どうせ、一個200円で売ってるんだし、いいじゃないですか。
せっかくあげるんなら、コッチのほうがいいですよ。ほら」


1番年少の船乗りが、どうぞ、と渡してくれた。アサギシティへようこそとプリントされたビニル袋に入った、おみやげものの鈴だ。でっすよねー。肩透かしをくらって俺は笑った。つかそんなに大事な鈴なら俺がもらっちゃダメじゃねーか、とおっさんに返した。


「すまねえな。そうだ。船の往来がねえとはいえ、そりゃあくまで41番水道に出たら、の話だ。クチバシティにいく大型船舶の大来だって、俺たちの船だっていっぱい通るからな、いきなりポケモンと一緒にでられちゃあぶねえ。せっかくだ、途中までのっけてやろう。トレーナーたちが活動してるのも、ちゃーんと棲み分けできてんだ。明日朝の8時頃にここにこい。そのころなら、漁も市場への出荷も終わってっからな。そこまで案内してやろう」

「おおお、おっさん太っ腹!ありがとう!」

「いいってこった。寝坊すんじゃねーぞ?」

「わかってらい。ポケモンセンターに止まりゃ、いやでも7時には起こされちまうんだよ」


船乗りのおっさんたちが、豪快に笑った。ついでに、知り合った山男のおっさんにスペックのひでんましん「かいりき」をもらった。これで山男の仲間入りって肩を叩かれた.。やだよ、山には風呂やシャワーなんてねえからって、きれいな川でギョウスイしてるときに、海パン野郎に間違われるなんてしにたくなるっての。ありがと、と仕舞っていると、海をわたるときは道具をモンスターボールに放り込めといわれた。ですよねー、濡れたら大変そうだ。いちいち出すのが面倒だからいつも出しっぱなしだけど、びしょ濡れにすんのはやだしなあ。なんだかんだで結構気に入ってるし、この白いリュック。後ろにモンスターボールマークっていうシンプルイズベストが結構好きだ。スリバチ山を探検する山男のおっさんたちは、山登りの素晴らしさを布教すべく無駄に余分にもってるらしい。いらなかったよ、そんなムダ知識。どうでもいいけど、かつてはタンバジムでかいりきが必須だったけど、ジムのギミックが滝になったせいでここでもらえる意味がなくなったよな。


「そういや、最近ミカンちゃんこねえなあ」

「やっぱりデンリュウのことが心配なんだろうさ。あの子はちいせえころから、デンリュウ大好きっ子だったからなあ」

「まあ、あの記録はなかなか破られるもんじゃあ、ないだろうけどな」

「お、おめえしらねえのか?こないだやってた大食い大会、ピンク色の髪した格闘家の姉ちゃんが2杯と四分の一ほど上回って記録更新したんだぞ?」

「え、マジかよ。不敗神話破られちまったなあ」

「まあ、デンリュウが元気になりゃあ、すぐミカンちゃんもとりかえしてくれるさ。よそもんに負けちゃ女がすたるってね」


いろいろ突っ込みどころ満載だけど、ミカンちゃんの幼少期について詳しく。なんて言えるわけもないので、思わず笑うと、イメージと違うだろう?といわれる。白ワンピースの美少女だからなあ、見た目は、性格もなかなかなんだが、なあ、と遠い目をするおっさんの視線の先には歴代の大食い大会の優勝者の年表。ついでに大食いメニューの突破記録。上から2番目ってどういう事なの。

つか白ワンピきたーっ!こっそりガッツポーズする。ちょっと冒険してみた系のドレスもいいけど、やっぱり清楚の王道は白ワンピだよな!あかねのバカヤロー、なんで本人に向かって地味とかしっつれいなこというかなあ。どうせあいつのことだから、もっとカワイイの着れば似合うのに、程度だったんだろうけど、わざわざ地方飛び越えてエリカにまで相談に言ってんだぞ、ミカンちゃん。真面目すぎるよ。しかもやっぱり恥ずかしいから、誰も自分を知らないであろうシンオウ地方まで出張して、コンテストに出場することでこっそりおしゃれについて研究とかびっくりだよ。ダイヤモンドやってた時のミカンちゃん出現にはびっくり通り越して固まったっての、脈略無さすぎゲームフリーク。まあ、グッジョブだけ

毎日毎日お昼時になると、時間制限の大盛りメニューを完食しにやってくるのだとこっそり店主が教えてくれた。ホントいらなかったよ、そんな情報!一回目だと大食いが発覚して恥ずかしがって帰っちゃうのに、二回目になると諦めて一緒に写真とってくれるってのに。まさか、このおっさんたちが平らげたばかでかい丼を前に写真とってんのか?!

にしても、こっそりこんなところまで出張してくる格闘ジムリーダー自重。シンオウからとか遠いから、北海道から神戸って遠すぎるから!タマムシシティの大食いコンテストに出場してんじゃねーのかよ、なんでここもやって来んの。食事制限からいっぱい食べられるとかどうみてもリバウンドフラグです、本当にありがとうございました。ちょっと、会うのが心配になってきた午後の昼下がりだった。


「ポケモンはだめだぞ、オーダイル」


ごくり、とつばを鳴らした相棒に、俺は全力を持って引き止めた。


「せっかくアサギにきたんなら、やっぱり一度は灯台にいってみな。デンリュウにゃあえねえが、景色は見事なもんだぜ。地球は丸いってわかるからなあ。力試しのトレーナーも多いから、海を渡る前の準備体操にももってこいだ。いってこい」

「うん、わかった。いろいろ、教えてくれてありがとう!」

「なーに、お互い様さ。そういや、坊主はアサギジムにはもう挑戦したのかい?ミカンちゃんはデンリュウにつきっきりでいねえが、代理の副リーダーもなかなかの実力だぞ?」

「へへ、やっぱり戦うならジムリーダーがいいなあって思ってさ」

「ま、そりゃ坊主の自由だがな。俺も久々に訪ねてみたら、岩タイプのジムから鋼タイプのジムに転向しちまって、おどろいたのなんの。コイルにびりびりされちまってなあ、大苦戦だ。参った参った」


気をつけろよ、といわれた。いわれなくたってわかってるよ。おっさんの持っているポケモンは、パウワウだ。確かにハガネールはともかく、コイルはちと違うかも。俺も初めてミカンちゃんと戦ったときは、マジでビビったしなあ。いきなりばかでけえポケモン繰り出してくるもんだから、パニック状態になったって。ガキが説明書なんて読む訳ないから、タイプもなんとなくで覚えてたから。虫タイプが岩が弱点だってのも、地面が半減だってのも気付なかったような時代だ。なみのりしたら効果バツグンだったから、あれ?ってなったのを覚えてる。いやだってさ、コイルんとき、今ひとつだったんだ。まさか炎が弱点なんて思わない。

さて、今度こそカーネルさん!待ってろよ!


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