第44話
ざざざざざ、と絶え間なく波音が聞こえる。潮風に吹かれながら、俺はぼろっちい釣竿を垂らしていた。いい釣竿はまだ早い。ざりざりする砂浜にて、ビニルシートを広げ、そこで座っていた。よいせっとやる。釣りなんてやったことねえから、くれたおっちゃんのしぐさを見よう見まねだ。
「どーだ?ピチュー。でっけえだろ?海ってさ」
ま、俺も海なんて××年ぶりなわけだが。やっぱいつみてもいいもんだね、きもちいいわ。
生まれて初めて海を見たらしいピチューは、目を輝かせて、こくりとうなずいた。
足跡がつくのが楽しいらしく、俺の後ろにできる靴後を飛び越しながらやってきたピチューは、きらきらとした眼で海を見る。そしておもいっきり声を上げた。おいおい、やっほーはやまだぞ、ここじゃねーよ、と笑う。39番道路で教えたの覚えてくれんのはありがたいけどな。照れたように舌を出したピチューは、下がっていく波に勢いよくかけ出す。でもすぐに追いかけてくる波にびっくりして俺の後ろにかくれた。あはは、かわえーなおい。ヨシノシティで遊んでたころのワニノコ思い出したぞ。たしかあんときは、はやく海に行きたくてしかたねえのか、ひたすら後ろをせっついて来て、ひとしきり遊んだら、名残惜しそうにじっとみてたわけだけど。おそるおそるピチューは波に体を浸す。なめてみたらしょっぱかったらしく、俺を見た。
「ほら、モーモー牧場で、塩ジャケくったろ?あの白いのは、これから作るんだ」
びっくりマークを浮かべたような顔をして、ピチューはへーとばかりにうなずく。
適当に穴を掘っていくと、砂から海水がにじみ出てきて、ピチューは声を上げた。
「なんか釣れるまで遊んでな」
ぺしぺし、と砂の山を作ってたたくと、ピチューはうなずいた。
さーて、遊びはこんくらいにして、そろそろ釣りしねーと。
俺はリールを巻く。ま、急ぐっちゃー急ぐんだけど、じゅんびはしねえとな。
なんせ、これから海を越えるんだ。水タイプのオンパレードになるわけだから、いつまでもレベル1はまずい。レッドさんわざとらしすぎるんだよなあ、今思うと。未来の俺から、雷の石とか預かっててくれたんじゃねーかなあ、ピカチュウ信者め。あれか、タマムシまでまてと?このままじゃピカチュウで四天王戦か、きっつ。たのむぞ、ピクニックガールのりかちゃん。はやいとこ横流ししてくれ。ま、ちまちま好感度上げてくシカねーな、がんばろ。はあとため息をついて、俺はふたたび釣竿を振った。ポイントがわりいのかな?つれねえ。
って、うおつめたっ?!ばしゃばしゃばしゃ、と波打ち際までいって遊び始めたピチューが水をかけてくる。こらこらこら、服がぬれんだろうが!あわてて俺は腕をたくしあげる。くつと靴下を脱ぐと、ピチューを追いかけた。駄目だなこりゃ、こんなに暴れられると獲物が逃げちまう。堤防に場所移さねえと。
「おっかけっこする気か?へへ、オイラに逃げようなんて10年早いわ!」
ボールを構えた俺に、ずるいとばかりにピチューはほほを膨らませる。あはは、手段なんか選んでられっか。まちやがれ!
「いいかあ?今からオイラがポケモンを釣りあげるから、出てきたポケモンと戦うんだ。
もちろん、まだ早いから、最初はお手本みるだけな?」
はい!とばかりに元気よく手を挙げたピチューが、俺の腕の中で笑う。うしうし。
「っつーわけで、よろしくな、オ―ダイル」
いつでもこい、とばかりに構えるオ―ダイル。おわったらアサギ食堂いこうな。ホントはバルキーを上げたいとこだけど、ここで釣れるやつに、攻撃力を上げてくれる奴はギャラドスだけだけど、ピチューには早すぎる。御覧の通り、レベル上げの基本、戦闘に参加しなくても戦闘に顔出ししただけで経験値がたまるの法則を実践中。あーあ、はやいとこ学習装置がほしいけど、赤いうろこと交換なんだよなあ、はあ。よいせっと釣竿を振った俺は、待つことにした。
うおっしゃ、きた!
浮きがしずんで、ずずずっときた感触に、あわててリールを巻く。きたきたきた!海面に次第に赤い色が浮かび上がってくる。ざっぱーん、というしぶきをあげて連れたのは、言わずもがなコイキング。打ち上げられて、横向きになりながら、びちびちびちとかわいそうなくらい抵抗するのをみてると、なんか目頭が熱くなってくるけど、ま、悪かったと思って諦めてくれ。うわっ?!ばちっとなんか静電気きた。驚いてピチューを見ると、ばちばちとほほに静電気がなっていた。あー、そっか、図鑑によれば電気溜めるの下手だってあったっけ?ってことは、毎度毎度驚いたり笑ったりするたんびに、放電してんのか、ご苦労さん。身をこわばらせてすがりついてくるから、頭を撫でて安心させてやる。あー、よかった、おさまった。んー、電気の貯め方がうまくなってきたら、やらせてみっか。そうじゃねえと、電気ショックが電磁波レベルのしょぼさになっちまう。
「オ―ダイル、かみくだく!」
待ってましたとばかりに、一撃で葬るオ―ダイル。ばしゃーん、としぶきがあがった。レベル10になんというオーバーキル。めをぱちくりしていたピチューだが、なんか尊敬の眼差しでオ―ダイルを見る。ま、そうなるよな。うしうし、と撫でてやりつつ、モンスターボールを見れば、すさまじい勢いでゲージが降り切れてレベルが上がってく。一気に5まで上がっちまった。すげえなあ。これでひたすらコイキングを狩りまくれば、お手軽にすばやさだけあげられる。こいつの場合、素早さがすべてだから優先事項だ。よいせっとふたたび釣竿を振る。ぽちゃんとうきが音をを立てて沈んで、再び浮きあがる。
こうしてしばらくオ―ダイルの力を借りながら、レベルだけ上昇させといた。
1時間後。
もはや見慣れてきたらしいピチューが、びちびちびちとはねるコイキングの前に飛び出していく。攻撃しようとしたオ―ダイルは攻撃をやめてこっちを見てきた。どうした?すると、ピチューが戦闘態勢に入る。んー、大丈夫か?こくこくとうなずくピチュー。せっかちはライチュウん時と変わんねえってわけね、なるほど。しゃーねえ、いっぺんやらせてみっか、とオ―ダイルに指示した。レベルだけみりゃ、とっくに10は越してるんだけどな。
「ピチュー、電気ショック!」
元気だけはいいピチューの声。電気をためるモーション。そして、勢いよく飛び跳ねて、電撃を飛ばす。おー、ナイスナイス、よくあてたなあ、初めてにしちゃ上出来だ。拍手すると、うれしそうになく。でも、まだびちびちびとしているコイキング。やっぱ一撃は無理か。こいつの耐久じゃ、ボルテッカーなんかしたら、何度ポケモンセンター行かなきゃいけなくなるかわかんないしなあ。ぎょっとしたピチューが見上げてくる。がんばれ、とこぶしを振り上げるオ―ダイルに、うなずいたピチューが再び電撃を飛ばした。ようやく倒れたコイキングが海に帰っていく。今まで反応が鈍かったゲージが振り切れる。よしよし、この調子なら、結構なペースでいけるかも。電気ショックのPPがなくなるまで頑張ってもらうとするか。
どんなもんだとばかりに胸を張るピチューに、確定2発はまだまだだとオ―ダイルが首をふり、がーんとなって影が落ちる。胸に飛び込んできたピチューをなだめつつ、俺はいじわるしてやんなよ、と苦笑した。
「ライチュウがいなくなったと思ったら、今度はこいつが生まれちまったからなあ。気持ちはわかっけど、落ち着けよ。な?」
モンスターボールに戻そうとしても、連れ歩き固定がよほど定位置と考えているらしく、嫌いになったのかとばかりに詰め寄ってくるからこんな調子だ。サミットん時もなだめんの大変だったしなあ、あはは。
「安心しろい。相棒はお前だけだよ。な?」
頭をなでた。そしたらずるいとばかりに飛び出してくるピチュー。オ―ダイルがのけもんにするもんだから、泣き始めてしまった。あーあ。俺は一度引き返すことにした。ポケモンセンターいかないと。水色の屋根が目印の街に、引き返すことにした。
湾や河川を利用して、また防波堤を築いて、船が安全に停泊できるようにしたのが、ジョウト地方1の港町、アサギシティだ。異国情緒漂う、ジョウトで一番異国に近い港街という看板は伊達じゃなさそうだ。全景が望める海沿いの39番道路からみた景色はそりゃもう壮観だった。山と海が迫り、波しぶきで大きくえぐられたサスペンスで最後に犯人が追い詰められそうな崖が続く道路から察するに、船が入りやすい水深があんだろう。まるで扇のように広がった町並みは、細長く伸びていた。どう見ても神戸です、本当にありがとうございました。真昼間だけど、100万ドルの夜景が楽しみだぜ。突き出した港、人口島から、船がたくさん停泊してるのが見える。この世界に瀬戸大橋はないからな、ずーっと船が活躍するおかげで、アサギシティはきっと運輸や貿易で発展してきたに違いない。だって、海を埋め立ててできた人口島には、たくさんの工場が並んでる。お、あの砂浜の先にあるのは、バトルタワー?ってことは、あの先にバトルフロンティアがあるわけだ。たくさんの四角い物体は、コンテナかな?やっぱりアサギの灯台が機能してないせいか、船がたくさん止まってる。にしても、タンバシティがみえねえなあ、なんだあのきり。なんか濃霧注意報でもでてんのかなあ?天気もいいってのに、残念だ。
とりあえずレベル上げだけ先にしとこう。
街の探索とジム訪問、といでにアサギの灯台でミカンちゃんと遭遇すんのはまた後だ。おつかい的に、ゆっくりする時間なさそうだしな。
「ピチュー、電気ショック!」
自分で放電した衝撃に驚いて泣きだし始めることもなくなってきた。よしよし、いい調子だ。海を越えるにあたっては、虫よけスプレーは大量購入が原則にしても、やっぱり主力はピチューだ。毒との複合が多いからバルキーはまた今度てことになっちまうけど、とりあえずは、氷ジムまではいきたいもんだ。ヨルノズクにまた世話になりそうだなあ。
電気の調節の仕方もなんとなくつかめてきたらしく、時折電気がたまってないのに放電してしまい、不発に終わったり、ためすぎてコンクリートを焦がしたりすることもなくなってきた。あー、練習場所ここにしといてよかったぜ、さすがに海道中ではきついわな。ポケモンセンターもあるから心配ねえし。
ばちばちっと赤いほほから放たれた電撃が、コイキングを一撃で倒す。おー、ここまで来たか!顔を輝かせるピチューに俺は拍手した。オ―ダイルもうなずいて、ピチューに笑いかける。ピチューは喜び勇んでオ―ダイルの背中に駆け上がると、オ―ダイルが肩車がわりに立ちあがる。一気に2メートルも高くなりゃおもしれえわな。きゃっきゃと笑うピチューは、俺のパーティのアイドルと化していた。
「この調子でいこうぜ、できたら進化させたいなあ」
ピチューは首をかしげる。まあ、なつき度進化だからなあ。いくらレベルが上がっても無理ってことは知ってるけどさ。あーもー、はやく安らぎの鈴がほしいぜ。俺は、もはや慣れてきた釣りざおをふった。
そういや、何体のコイキングが犠牲になったんだろう。数えてねーや。
「おい」
んー、つれねえなあ、とぼやく俺に、暇そうにピチューが腕の中であくびする。俺だって眠いっての。ふあ、とあくびをした俺につられて、オ―ダイルもした。トトロみたいなあくびだな。そういや、あれってホントはメイの聞き間違いで、ねむいよーって言ってるらしい。トロルがホントの名称なんだろうな、お伽噺のってさつきがいってたし。あくびは感染すんだな、あはは。
「おい」
やべえ、眠くなってきた。目をこする俺に、オ―ダイルが暇だとばかりになく。ピチューは飽きたらしく俺を離れて、オ―ダイルにちょっかい出し始めた。つれねえなあ、ポイント移した方がいいか?まだあとちょっとでレベルがあがるんだよなあ、もったいねえ。
「おい!無視するな!」
いきなり後ろから蹴り飛ばされる衝撃。無防備な俺は、なすすべなく海に投げ出される。
「あ」
「え゛?ちょ、え゛?ぎゃああああああ!」
釣竿を持ったまま、俺は防波堤から落下した。オ―ダイル達の悲鳴が上がる。つか、あってなんだよ、あって!やっちまった的なセリフ何様だ、この野郎!
ざぶん、という音を最後に、音が消える。全身を鈍い痛みが襲って、俺は意識が遠くなる。たくさんのあわがうえに登って行って、がばがばと俺は海水を飲み込んでしまう。水のせいでろくに身動きがとれない。あ、やべ、俺死んだか?シェルダーやパルシェン達が張り付いているコンクリートが見える。結構底は深いらしく、暗くてよく見えない。がぽ、とあわがとけていく。しぬしぬしぬ!あわてて口で抑えるも、苦しくてかなわない。
くうをきる手をつかんだのは、オ―ダイルだった。
「がはっ、げほっ、げほっ、げほっ!」
勢いよく空気を吸い込んで、口にたまった海水を吐き出した俺は、激しいせきに襲われた。
ずぶぬれのせいでろくに動けないから、オ―ダイルにつかまることで精いっぱいだ。
ピチューの声が遠い。ほっとしたのか、防波堤から、海岸に泳いでいくオ―ダイルに従ってかけ出す。ようやく呼吸がマシになった俺は、ありったけの怒りをこめて叫んだ。だーくそ、鼻に海水がだいれくとにっ……!つーんとくる衝撃に、声は正直死んでる。
「何しやがんだよ、馬鹿貴公子!オイラを殺す気かあっ!」
さすがに違うらしく、首を振られる。いやマジでうなずかれたら、へこんでたけど。
謝れよと言ってみたが、どうやら事態が飲み込めてないらしく呆けてら。
ありったけの絶叫と豪快なしぶきにつられてか、海岸には人が集まっていた。
今回ばかりはざまあとしか言いようがねえ。なんで蹴ったんだよ、馬鹿野郎。
いくら泳げる奴でも服のまんまじゃおよげねえよ、ぱにくるよ、どんだけ憎んでんだよ!
俺はポケモンセンターでシャワーを借りることにした。あーあ、服、ジャージしか持ってねえのに。ため息をつくと、アサギシティと書かれた「海人」的な感じの黒地に青い字のTシャツとジャージを渡された。ありがとうございます、洗って返しますと言うと、どーぞもらってとジョーイさんに微笑まれた。ありがてえや。
着替えて、俺は待合室でオ―ダイル達と合流した。タオルを首にかける。
ブラックが怒られていた。あったりめえだろーが、防波堤で人突き落とすとか。
「おい、貴公子−っ、こないだは棄権しちまって悪かったとは思うけどよ、
いくらなんでも突き落とすなよな。びっくりしたじゃねーか」
「………ああ」
「ああ、じゃないでしょう?あなた、知り合いなの?」
「え、あ、まあ、知り合いかな」
「何があったかは知らないけどね、悪ふざけにしろ、何か事情があるにしろ、人を突き落としちゃ駄目よ?オ―ダイルがいたからよかったけどね、もしこの子に何かあったらどうするつもりなの?」
「………」
こんなときどうすればいいのかわからないの、とでも言いたげな顔だ。
それはな、絶世の美少女じゃないとだめなんだよ、お前がやってもきもいっての。
いくらお前が女顔でもだめだってそれ、うぜえ。
謝りなさい、と優しくも厳しくさとすジョーイさんの言葉に、ブラックは無言なままだ。
はあ、とため息をついた俺は、ジョーイさんに言って、二人だけにしてもらう。
オ―ダイルは低く唸り声をあげている。ピチューはボールの中に戻した。
落ち着け、とオ―ダイルをなだめて、俺はいすに座った。
「はー、びっくりした。オマエなあ、びっくりさせんじゃねーよ、心臓止まるかと思ったじゃねーか」
「………」
「ま、お前が謝るようなやつじゃねーってのは知ってるけどよ、悪いとかごめんとかすまんとか一言いやいいじゃねーか。そんでちゃらにしてやんよ」
はなでわらうな、そこ。いらっとした俺は、ため息一つ。
「謝るまで、相手してやんねーぞ」
「なっ!」
いきり立つブラックを制して、ベーと舌を出す。
「悪いことしたら、あやまんのは当たり前だろー?
それともあれか?お前の親父さんは、そんなことも教えてくれなかったのかよ?」
「………!」
ちい、という舌打ちの後、すっげー棒読みで悪かったという言葉が聞こえた。
これでよし、と俺はぱんと手をたたいた。バツ悪そうにブラックはまた沈黙した。
なーんか不気味だな、沈黙とか。はっぱかけてやっか。
「つーかさ、貴公子、お前、あんときオイラに勝ったじゃん?
なんでまた勝負いどむんだよ。別にもう構う必要なくね?弱い奴は嫌いなんだろ?」
「ふん、馬鹿馬鹿しい。これだから弱い奴と戦うのは嫌なんだ。手加減してるのにも気づかず、つい遊びすぎてしまう。そんなこと関係ないだろう。お前がトレーナーを続けている限り、俺はお前をつぶす義務がある。なによりまだ勝負はついてない。まだ、手持ちの勝負が残ってるだろう。勝負に逃げた人間は、やはりチキン野郎か」
「チキンやろって、オマエなあ。いっとくけどさ、オイラがお前の因縁とやらにぜってえ付き合わなきゃいけねえ理由ってないんじゃね?オイラだって忙しいんだよ。これから岩砕きでアイテム発掘しなきゃなんねーし」
は?とばかりにブラックが一瞬俺の言葉が理解できないのか、ぽかんとする。
ゲームじゃお前、俺を相手する気ないとか言って、ジムから出てきてどっか行っちまうじゃねーか。ご丁寧に遠まわしにアサギの灯台にいけと忠告するというよく分からないことするわけだけど。だから正直、ブラックがここまで俺と戦うつもりで来てるとは思ってないわけで。何しに来たとしか言いようがないわけで。あーそっか、俺がエンジュイベントふっ飛ばしたせいで、こっちにイベントが移行したのか。おもしれえなあ、おい。
「また逃げる気か!」
「だーかーら!いい加減にしろよ、お前はあれか、かまってちゃんか!いくらオイラが気づかないからって、突き落とすとかどんだけだよ!」
結局いきつくのはそこだ。
「か、かまっ……!馬鹿にするのもいい加減にしろ!」
「無視すんなとか、お前、あははははっ!」
「うるさい!さっさと勝負しろ!」
「わかったわかった、わかったからこっちみんな、きこーし!」
レンタル大会以来の笑いのツボにはまってしまった俺は、げらげらと笑い転げるはめになった。あーハラいてえ。バツ悪そうに舌打ちしたブラックにごめんごめんと謝って、俺は砂浜に急いだ。
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