第36話

「もしもし、ゴールド?ねえ、今日暇かい?よかったらさ、今から自然公園に来てくれないかな。なんと!今日からまた虫取り大会再開するんだよ!」



朝一番の電話に俺が飛び起きたのはいうまでもなかった。






自然公園では、火曜日、木曜日、土曜日に虫取り大会が開催されている。やっとポケスロンが始まったらしく、客引きもかねてるらしいが、スルーだスルー。俺こういうミニゲームあんま好きじゃねえ。大会ルールをゲートキーパーの兄ちゃんが参加者の前で説明してる。競うのは、二点らしい。へええ、知らなかった!まず、強そうなポケモン(ストライクやカイロスなんかの出現率の低いやつが狙い目だ)、つまりなるべくレベルが高いポケモンを捕まえるといいらしい。あ、まじかよ、ポケモンの得点ってある程度決まってんの?二つ目は、虫ポケモンを捕獲する技術を競うらしい。ヒットポイント減らしちゃだめ?ノーダメだと追加得点?うわ、めんどくせえ裏ルール合ったんだ、知らなかった!通りでこっちは苦労してカイロス捕まえたのに、瀕死寸前だったからポイント低くてコンパンに負けちまったわけだ。あ、状態異常はありなのね。だよな、そうじゃなきゃひたすらボール投げるしかねえもん。


俺は受付のお姉さんにリュックを預ける。パーティを回復させるアイテムや指定の大会用ボール以外で捕まえた後に移し替えるのを禁止するためらしい。制限時間は30分。三十個の緑色のラインが入った専用ボールの入ったカバンを受け取る。


優勝すると太陽の石、つぎがかわらずのいし、三位がオボンのみがもらえるらしい。三位がいいなあ、俺。殿堂入りしたら、他地方のポケモンも手に入るし、優勝はすべての進化のいしからランダムだしなあ。今の虫取り大会はぶっちゃけショボい。ま、いっか。俺上位入賞めざしてないし。
図鑑をうめるために参加してるようなもんだ。張り出された生息ポケモンの一覧表をみる。バタフリーとカイロス、ストライク、コンパン系統、パラス系統は一気にそろえられる。野性で出現するやつしか捕まえない俺のための大会見たいなもんだ。



「ねえ、ゴールド。どっちが順位がうえか競争しない?」

「えー?オイラ不利じゃんか!ツクシは何度も優勝してんだろ?」

「それをいったら、君だってたくさんポケモン捕まえてるじゃないか」

「点数の稼ぎ方とか出現区域とか把握してんじゃねえの?」

「あはは、ばれちゃった?ま、それは僕だけじゃないよ。ここの参加者たちはいつも自然公園を中心に活動してるから庭みたいなもんなんだ。頑張ってね」

「容赦ねーなあ、ツクシ」
「これだけは負けられないからね」

「へっへー、んなこといわれちゃ黙っちゃおけねえ!勝負だぜ、ツクシ!」

「そうこなくっちゃ!」



ま、図鑑うめが優先だけどな。捕まえてきゃいいやつでてくるだろ。じゃあね!と足早に散っていったツクシに手を振った。



さっそく自然公園内で流れてる曲を上書きする形でポケギアをラジオに固定して、流す。今日はポケモンマーチのひだ。陽気な曲が流れはじめ、つられてかポケモンが飛び出しやすくなる。あまいかおりがありゃ、いいんだけど、あいにく俺のボックスは秘伝要員しかいない。俺はひたすら走ることにした。なんか出現率あがるはずだ。 ちなみに先頭はレベルを14まで上げたサンド。地面技は虫にはいまひとつだし、眠らせてからの攻撃はちょうどいい。バルキーもだけど、威力が高すぎるし、外れたら怖い。技ポイントが少ないのもきつい。ちなみにサンドは秘伝要員だ。実は虫除けスプレー散布済み。これで野生のポケモンは14レベル以下はでてこない!控えはヨルノズク。さあ、きやがれ!としらみつぶしに俺は草むらを探した。



「ちょっと、君!今ポケモン捕まえてるとこなんだ!邪魔しないでよ!」



さーせん









二十分後

虫取り大会では常に、捕獲した数は一体にしなきゃいけないから、なやみどころだ。あー、もっとポケモンごとの基礎得点(レベルで変動するから固定じゃない)みとくんだったなあ。スピアーとカイロスってどっち高いんだっけ?うーん、カイロスは、体力削りすぎたしレベル低い。なんせボール個数に制限あんのに、捕まえたいポケモンがいすぎて慎重になりすぎたんだよなあ。スピアーはレベル高いし、一発で催眠で捕獲成功したけど、普通に考えて虫っていったらくわがたか、カブトムシ2強だけどカブトムシ不在。カマキリやくわがたと比べて、蜂はといわれたらなあ。うーん、今にも倒れそうな赤ゲージのカイロスだとらゲームの二の舞になりそうな気がするなあ。うし、スピアーでいこう!俺はボールをスタッフに渡す。さすがに回復させてから逃がすのがゲームとの違いだ。

さらに五分後

あとボールは五個か、時間もあとわずか。そろそろ潮時か?あー、ストライクでねえ!他のはうまいこといったのになあ、みつかんねえ。



俺が忙しなく走り回るのを追っかけ、なんとかついていていたサンドがくしゃみした。俺の後だとくさむらがゆれて、くすぐるらしい。けらけらと笑っているサンドは元気そうだ。当たり前だな、実際の戦闘はヨルノズクだし。こっちもレベル差半端ないから大丈夫だろう。


うーん、ストライクってここの虫取り大会以外ででたっけ?あとで図鑑を確認しねえと。



あー、あしいてえ、とベンチに座り込んだ俺に、サンドがランニングシューズに面白がってのっかり、手を伸ばしてくる。うぐおおお!正座してしびれてるところに、おもいっきり踏み付けられたみたいな衝撃がおそう。悶絶する俺に、サンドが笑う。がたんがたんゆれる足場がおもしろいんだろう。勘弁してくれ、しぬ、と俺はサンドを抱き上げてやめさせた。はあ、とためいき。



「あれ?余裕だね、ゴールド。こんなところで休憩かい?」

「足が死んじまったよ、疲れたー!」

「?」

「なんで自転車禁止なんだよ!おかげで往復三十回だよ。走りゃ出現率あがっだろ?」

「あー、なるほどね。そっかゴールドなりに考えてるんだね、楽しみにしてるよ」

どうやらツクシもお目当ては捕獲したらしい。さすが。そういや、サミットでなんとなく電話番号交換したわけだけど、普通は殿堂入り後だ。仲良くしてくれてんのは、有り難いかぎりだぜ。あえていうならもっといい情報くれよ。ぶっちゃけ虫取り大会を教えてくれるやつ、すでに登録してあんだけどなあ。もちろんそいつからも電話で聞いた。そーだ、せっかくだし写真イベント聞いてみるか。

「なあ、自然公園に写真やさんっていねえの?」

「ああ、ゲンゾーさん?ゲンゾーさんなら大会後の写真会ででてるよ。捕まえたポケモンと一緒にとろうか、せっかくだし」

「りょーかい」



ぴんぽーんとチャイムがなり、俺たちは集合場所に向かった。











「では結果を発表しまーす!第五位、キャンプボーイのひろきくんとバタフリー」
イロチガイじゃねーか!驚く俺にツクシが、イロチガイの追加得点はポケモンごとのポイントを覆せるほどのものではないらしい。まじで?
「第四位、ゴールドくんとスピアー!」
あーあ、と肩を落とすと、初出場で入賞はすごいよといわれた。三位ならよかったのに!
「第三位、むしとり少年のこうへいくんとカイロス!」

「第二位、むしつかいのツクシくんとストライク!」
「第一位、ポケモン大好きクラブのさだみちさんとストライク!わずかながらこちらのストライクのヒットポイントが残っていました!」



ツクシすげえ。あー、と残念そうな顔でためいきをついてる。このツクシはゲームみたく見切りをつけてやめそうにはねーな。俺は肩を叩いた。




















「そうそう、忘れるとこだった。ゴールド、たしかヘラクロス探してたよね?」
「ん?まあな。バルキーがいっからレギュラーにするつもりはもうねえけどさ、やっぱ図鑑はうめたいな」
「ならさ、いい場所教えてあげるよ。さすがに虫取り大会じゃ意地悪しちゃったし。最近みつけて、まだポケモン協会に報告したばかりだから、図鑑には反映されてない場所があるんだ」
「まじか?サンキュー、ツクシ!」

「あはは。そのかわり、捕まえたら見せてね?イロチガイがよく見つけられるポイントなんだから」

「…なん、だと」

「あしたからまたジムが始まるんだ。僕帰らなきゃいけないから、タウンマップでだいたいのところ教えてあげるよ。ポケギアみせて?」

「りょーかい」

「イロチガイみつけたら、ストライクを図鑑にのせるの手伝ってあげるよ」

「おおお!サンキュー!」


二回同じポケモンを通信交換すれば、図鑑がうめられる。ラッキー!

俺はさっそくポケギアをみせた。






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