5月6日 ()
 クソみてえに清々しい快晴


 仁王の銀髪がギランギランに光ってて直視できなかった。柳生の眼鏡の反射がヤバくてもうそれ自体がレーザービームみてえだった。ジャッカルの頭から湯気がでてた。そんだけ日射しがやばかった。ここ数日で焼けた俺と赤也と、逆に血の気が引いてやたらと白くなってる仁王。最後の最後で全力を出してきた日光に対して放たれた「本気でとどめを刺しにきてるぜよ」という仁王の言葉に思わず誰しもが頷いた。

 そんで慈悲なのかなんなのかいつもより早めに部活は終わって、俺たちは数日前と同じように自販機の前の流しに座り込んでいた。記憶の通り、スポドリの味を思い出すだけで吐き気がするような状況になったもんだからとりあえず小岩井のりんごを買った。ちょっとくどいけど糖分が全身に染み渡る感じがする。勢いよくプシュッ、と鳴ったコーラにびびってる赤也と、カフェオレを飲んでる仁王。疲労で今にも倒れそうな身体を達成感だけでギリギリ支えてるようなもんだ。けど世の中…というか、立海テニス部は甘くない。やっと終えた悪夢の連続練習。なのに明日は無情にも…

「なぁにおー、知ってる?」
「言わんで」
「知ってる?」
「知っとるから言わんで」
「明日って月曜日らしいぜぃ」
「………言わんでって言ったんに…」
「あー!丸井先輩が仁王先輩泣かした!」
「おい、赤也お前分かってなさそうだけど明日月曜だから朝練あんぞ」
「…は、」

 明日は無情にも月曜日。午後はミーティングだけなものの、朝練はしっかりとやる。つまり午前七時にコート集合。いつ疲れをとればいいのか分からないレベルのハードスケジュールだ。
 カフェオレを放ったらかしてけっこう本気で泣きべそをかき始めそうな仁王と、俺と、そして絶望に打ち拉がれている赤也で丸くなって肩を組んでさめざめとお互いを慰め合った。世間一般でいうところの連休は俺たちに訪れることはなく、こうして呆気なく終わっていく。汗くせぇし、むせぇし、全身筋肉痛だしマジ最悪。でもこれはこれでちょっと楽しかったような気もするのがますます最悪。


王者立海に連休は来ません。(2012/6/6)