君が居なくなる夢を見た後に、空っぽのベッドを見つけたら、零れる涙に溶け出すのは何だと思う?
少しの塩分と答える君は私を馬鹿にしているの?意地悪で、私の気持ちを汲んではくれない人。だけど暗い部屋から抜け出してふらりと彷徨う私を捕まえたのも君だった。シャツの胸元に吸い込まれていったのは、私と、涙と、そこに溶け出した「さみしさ」。
「なに泣いとんねん、あほやなあ」
ぽんぽんと頭を優しく撫でる手は温かい。今だけだから、このまま側にいてと心の中で呟いた。聞こえない気持ちを拾い上げたのか、それとも涙に溶けたそれに気付いてくれたのか。背中を包み込む腕が緩むことはなく、より一層の力を連れて私を閉じ込める。
「わいはどこも行かへん、ちゃんとここに居るやろ」
「……わかってるよ」
「ナマエはんは素直やないなぁ、ほんまに」
何も答えない代わりに、目元が擦れるのも構わず涙を白い布地にくれてやった。素直じゃないのも、わかってる。
(涙に溶けた不安は、君が全て受け止めてくれるから)