自重してヒビキの続き
※ピクシブレッド


「あ、もしもしグリーン今大丈夫?」
『どうした?今俺忙しいぞ』
「あ、もしかしてジム戦だった?変なタイミングでごめんね」
『昼寝中だ』
「殴るよ」
『やってみやがれ』
「で結局今暇なんでしょ?今お腹痛くてさあ……またナプ」

プチン

『いや、ナプチンじゃなくてさ……なにも切らなくたって……』


▲▽


「シルバー元気?」
『元気じゃない』
「……」
『ナマエ、この前は、ごめん……な』

プツ……ン、

『えっあっちょっと待ってシルバー!なんか回線の切れる音まで切ない!しかもポケギアが繋がらない!やばい、フォローしたいのにできない!』


▲▽


「ヒビキ……はなんか嫌だな。頼んだら負けな気がする」

プルルルルルルル

「うわっ噂をすれば!!」
『ナマエさんもしかして今生理中じゃありません?もし具合悪かったら俺が適当に見繕って色々買っていきますよ』
「(なんでわかったのよ……)あ、あー……イヤ、とっても元気なので間に合ってます」
『本当ですか?』
「疑り深いなあもう……本当に大丈夫だからご心配なく!バイバイ」

ブツン

 この数分間でどっと疲れた。これはもう年貢の納め時か。自分で買いに行くほかない。こんな這ってでもないと歩けないような私が……あれ?あののそっとした後ろ姿は。

「あー!」

 楳図か○おもびっくり!ヘビ女のごとく地面を這って窓にしがみつき、ありったけで叫んだ。珍しい!流れ星よりも皆既月食よりも珍しい!生ける伝説!

「れっ、レッドーー!」

 近頃暑いし、シロガネやまにも春がきてるのかな。リングマもといレッドが下山するなんて、そんなことは滅多にない。会える機会も少ないし増してや頼る人がいないこの状況、レッドに衛生用品を頼む日が来るとは思わなかったけど、この際背に腹は代えられない。

「ちょっときて!」
「……ナマエ」
「ひさしぶり!頼みたいことがあるの!……ちょっとスルーしないで!」

 レッドは私を一瞥するとそのままどこかへ行こうとする。言葉を交わしておきながら薄情な!と叫んだら、レッドはゆっくりとこちらを振り返った。

「……」
「やめて!威嚇するのも駄目!」
「窓から体半分もだしてる不審者なのに?」
「人間追い詰められれば前のめりに生きるようにもなるの!頼み事聞いてくれたらなんでも美味しいもの作ってあげるから!」
「うん。じゃあ、いいよ」
「わーんありがとうレッド!トキワのドラッグストアでね、ナプキン買ってきて欲しいの」
「いいよ」
「あれっ」
「どうしたの」
「うー……ん、あっさりし過ぎて怖い。本当にいいんだよね?」
「うん」
「とりあえず、ありがとう?」

 レッドは表情を変えないまま首をかしげたけれど、やがてこくりと頷いてふらっと行ってしまった。躊躇いとかは一切ナシなんだね。大の男が恥ずかしいとか思わないのかな。頼みごとの張本人が何言ってるんだって感じだけど。人里離れたところに長くいると、そのあたりの感覚がマヒしてくるのかもしれないし、そもそもレッドは細かいことを気にしない性格だった気もする。まあいいや、本人は何も気にしている様子ないし、行ってくれるなら私はとっても助かる。

「ナマエー」
「あ、レッドおかえり!今日は簡単にポトフしか作れなかったんだけど、たくさんあるからとりあえずこれ食べて。落ち着いたらもっとちゃんとしたの作ってあげるからね。今日のところはこれで我慢してくれるとうれしい」
「ん」

 レッドが持ち帰ってきた袋はちょっと大きめ。どれどれ、どんなの買ってきてくれたのかな……ふつう用と、夜用28センチ。これがあればきょうの夜はだいぶ助かる。ちょっと高いやつだけど、レッドにならって細かいことはきにしない。まあいいか。あっこれストレスフリー特許のやつだ。いいものを体験したら肌が贅沢を覚えていつものお徳用に戻れなくなりそう。

「それにしても早かったね、どれがいいのかとか迷わなかった?」
「店員さんに選んでもらった」
「え」
「わかんなかったから、どれがいいのか聞いたら、それ。とりあえず、それがあったら困らないって」

「……なるほど、品質重視のセレクトはそういうわけね」

「?」
「でも聞くの恥ずかしくなかった?」
「ぜんぜん」

 さすがだあ。レッドは度胸があるんだなあ。物怖じせざることゴローニャのごとし。反応の鈍さはヤドンのごとし。いや……これは余計か。

「あれ、レッド珍しいもの持ってるね、TSU○AYA……レンタルショップ?レッドってこういうところ行くんだ」

「あ、忘れてた。それ、グリーンに頼まれたやつ」
「はあ、グリーンも人使い荒いなあ。なになにー……うわ、えろいやつかよ。グリーンってば人になに頼んでんの……」
「ナマエも人のこと言えないよ」
「わたしは本当にピンチだったの!」
「ふうん」
「うるさいな。どピンクのブルーレイ選んだくせに……めっちゃ画質いいじゃん……。これレッドの趣味で選んだの?」
「ううん、これも店員さんに聞いた。おすすめのやつ教えてくださいって」
「え!そっち聞く方が恥ずかしいな!いやこの場合は店員さんの方が恥ずかしいか……」
「ナマエ、おなかすいたよ」
「え、ああうん、鍋だいぶあったまってるから、食べてていいよ。私ちょっと厠に」
「うん」


(あれっ!鍋が空だよ!?)

(美味しかった。ふぁ、ねむ……おやすみ)

(ベッドで寝るのね……別にいいけど。ポトフ、わたしの夕飯でもあったんだけどな)


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近年稀にみるパシらレッドさん。
ブルーレイはグリーンのもとへ届かず忘れたころに、膨らんだ延滞料金をグリーンが払う。


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