「好き嫌いはいけませんよね」
「……お母さんに言われてきましたから」
「……学校でも」
「………いけないってことはわかってるんですよ」
「つまり、お前はニンジンが嫌いなわけだな?」
「う、そうとも言います」
「仕方ねえな。苦手なもんは教えとけよ?次はわかんねーように細かくして入れとく」
「あ、え、すみません。ありがとうございます!」
「こんなに美味いんだけどな、甘いし」
「う〜〜、でも、なんでしょう独特の野菜くささっていうか土くささっていうか、とにかくニンジンだけは駄目なんですよう」
「まあ好き嫌いって結構先入観だって言うし、食ってみれば案外いけるもんだぜ?」
「はあ、そんなもんですか」
「ああ、そんなもんだ」
「……グリーンさんは、好き嫌いないんですねえ」
「おう、姉ちゃんに厳しくしつけられたからな」
「好き嫌いがないって格好いいですね。純粋に」
「お、そうか?なんか照れんな。まあ据え膳食わぬは男の恥って言うからな」
「……は」
「え?」
「……グリーンさん今、」
「え俺今何か変なこと言ったか?」
「……いえ、なんでもないです」
それ、そういう意味じゃないです。