「あああっ!!!」

はあっ、はあっ、と荒い息のまま首を確認する。
繋がってる!血も出てない!!

はぁあ、と安堵の声が漏れる。


そしてふと頬が濡れていることに気付く。
泣いていたんだ、あの夢を見させられて。


周りには何故か子供たちが倒れていて、炭治郎の姿は見えない。
一瞬で空気を読んだ。

この子供たちは鬼に利用され、炭治郎は早々に目を覚まし鬼を追っている。


「炭治郎の加勢をしなきゃ…!」


立ち上がり隠していた刀を取り出す。
すぐに伊之助が目覚めて制止も聞かず何処かへ行ってしまった。


周りの乗客に肉のようなものが巻きついていくのが見えた。


「炎の呼吸 壱ノ型 不知火!!」


目に見えないほどの炎の斬撃で、肉のようなものが飛び散った。


「煉獄さん!」
「黄色い少女!ここから3両を君と黄色い少年と竈門妹に頼みたい!俺は後方5両を守る!」
「れ、煉獄さん一人で5両…!?わ、わかりました!」


柱がそういうんだ。
それが一番効率がいいのだろう。
下手にごねて、時間を取らせるのは得策じゃない。


「うむ、君は聡いな」


ぽん、と私の頭に手を置いたかと思うとどん!と車両が揺れて風の音をさせ煉獄さんの姿は見えなくなった。


「善逸、起きて!」


まだ目覚めぬ善逸を起こそうとするが、時間がもったいない。
前で禰豆子ちゃんが戦っている。


「ごめん、後で助けに来る!」


聞こえてないはずの善逸に声をかけて禰豆子ちゃんの元へ走る。
禰豆子ちゃんは一人であの鬼の肉のようなものを乗客から守るために断ち切っている。


「禰豆子ちゃん、私こっちやるからね!一人で背負わせてごめんね」


任された3両のうち、1両に走っていく。
私が入ると乗客は今にも肉に飲み込まれそうになっていた。


「雷の呼吸 陸ノ型 電轟雷轟!!」


雷が落ちる。
切っても切ってもキリがない。
恐らくこの列車全てが鬼なのだろう。

むくむく、とまた肉の塊が生える。


「参ノ型 聚蚊成雷!!」


他のみんなは大丈夫だろうか。
善逸は目覚めたのだろうか。


…いや、こんなことを考えても無意味だ。


それに皆の実力は私がよく知っている。この程度でやられる人など一人もいない。




そしてしばらくすると後ろで私と別の雷鳴が轟いた。
善逸だ。

きっと禰豆子ちゃんを守りながら戦ってくれているんだろう。


今は、何も考えない。


乗客を守ることに集中して、私は技を繰り出し続ける。



28 二百人を守る
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