ようやく落ち着いてきた頃、炭治郎がここに来た経緯"ヒノカミ神楽"について煉獄さんに話す。


「うむ、そういうことか!だが知らん!ヒノカミ神楽と言う言葉も初耳だ!君の父がやっていた神楽が戦いに応用できたのは実にめでたいが、この話はこれでお終いだな!」
「えっ!?ちょっともう少し…」
「俺の継子になるといい面倒を見てやろう!」


煉獄さん、変わった人だなあと思いながら二人の話を半分聞く。

窓際、善逸の隣に座っている私は売っていた冷凍みかんをパクつく。
程よいしゃりしゃり感が堪らない。


「ほら、伊之助も食べる?」


目の前に座る伊之助に冷凍みかんを勧める。
冷凍みかんは初めてなのか、うお!凍ってやがる!?と驚いている。

伊之助に冷凍みかんを渡すと、列車ががたんと音を立てて動き出した。


「動き出した!」


興奮した様子の伊之助が窓から身を乗り出す。
それを慌てて善逸と引っ張り止める。


「うおおお!!すげぇすげぇ早ええ!!」
「危ないよ!」「危ない馬鹿この!」
「俺外出て走るから!!どっちが早いか競争する!!」
「馬鹿にも程があるだろ!!」


身を乗り出して今にも落ちそうな伊之助を何とか電車内に引き摺り戻してほっとする。


「危険だぞ!いつ鬼が出るか分からないんだ!」
「え?」


善逸の顔が一瞬で青く染まる。


「嘘でしょ鬼出るんですかこの汽車!」
「出る!」
「出んのかい!嫌ァーーッ!鬼の所に移動してるんじゃなくここに出るの嫌ァーーーッ!俺降りる」
「善逸、迷惑になるから静かに」
「なまえ!だって出るんだよ!?ここに!鬼が!」


しーっ!と善逸の唇に人差し指を当てる。
善逸はむぐっと静かになって恥ずかしそうに視線を泳がせる。


「短期間のうちにこの汽車で四十以上の人が行方不明になっている!数名の剣士を送り込んだが全員消息を絶った!だから柱の俺が来た!」
「はァーーッ!なるほどね!降ります!」
「降りません」


善逸の腕を引っ張って横に座らせる。


「降りるぅぅうう」
「降りない!柱の煉獄さんがいるんだから大丈夫だよ!炭治郎も伊之助もいるし…」


善逸を宥めていると、暗い雰囲気の車掌さんが切符拝見します…と近付いてくる。
順番に確認して切符に切り込みを入れていく。
何か嫌な空気だな、と思いつつ切符を出す。


ぱちん。


「拝見しました…」



26 無限列車
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