今日もカナヲちゃんに薬湯をぶっかけられ、機能回復訓練が終わる。
終わったら炭治郎と全集中をずっと出来るように特訓してみたり基礎から色々試してみたり。


「…あ、手拭い」


部屋に忘れて来た。
服が濡れたままでは風邪引いてしまう。
戻って手拭いで拭いて着替えないと。


部屋に戻ると(禰豆子ちゃんと同じ部屋なので)善逸は禰豆子ちゃんの箱の隣に座り込んで何か独り言のように禰豆子ちゃんに語りかけていた。

それを見て心臓がちりと痛んだ。
痛くない、痛くない。と心の中で呟いてにこやかに話しかける。


「善逸…一緒に機能回復訓練しない?」
「今日はちょっとお腹の調子が悪いかなーなんて……ってなまえ!!???!なんて格好してんの!?」


はい?と首を傾げる。


「善逸と同じ格好でしょ?」
「そうだけどそうじゃなくて!!服!濡れて!まっ前!す、すけすすすすけ透けてる!!」
「ああ…カナヲちゃんに薬湯かけられて…手拭い取りに来たの」


善逸は手で目を隠してる。
…いや、よく見たら指開いてて見えてる。
何の意味があるのそれ。


「あれ、手拭いないなあ」
「お、俺持ってくるよ!」
「あっ、善逸!」


真っ赤な顔をしてびゅーっと風の如く部屋を飛び出して行ってしまった。
お腹痛かったんじゃ…いや嘘だっていうのはもちろん分かってるけど。

とりあえず着替えちゃおう。
髪は善逸が手拭い持って来てくれたら拭けばいいか。

服をぱさりと脱ぐ。
傷も塞がってきてはいるけど、日の光の下で見るとやっぱり綺麗な身体ではないなあ。生傷だらけで。


ふとガラリと戸が開いた。
善逸?流石に早くない?と思っていると


「…あ」


炭治郎だった。
炭治郎は目を合わせるとぼふんと効果音がしそうなくらい一気に顔を真っ赤にしてごごごごめん!と吃りながら戸を閉めた。

すぐに外で炭治郎と善逸が喋ってる声が聞こえてきた。
慌てて服を着ようとして「ま、待て善逸!」と言う炭治郎の制する声と共に戸がガラリと開いた。


「…」


善逸と目が合う。
そして視線を少しずつ下に下げて行くので、私は思わず前を隠した。

はらり、と善逸の持っていた手拭いが床に落ちる。


「…手拭いありがとう。着替えるから出て行ってくれる?」
「…アッ、ハ、ハイ」


善逸はガチゴチと固まったような音を出しながら部屋を出て行った。

外では何故だか炭治郎が善逸に責められている声がする。


「見たのか!見たのか炭治郎!?」
「えっ!?う…少し…」
「ギィエエエエエエ!!ふざけんなよ炭治郎!何見てんだよ!なまえの裸!見てんじゃないよ!!ああああんな真っ白で綺麗で滑らかで触り心地良さそうで二つの膨らみまで見たって言うのか炭治郎!?!?」
「いや一瞬で…そこまで見てない。善逸の方が見てるじゃないか」


着替え終わり、耐えきれなくなってパァン!と戸を開ける。
そしてじろりと善逸を睨む。
善逸はひぃっと声を出して炭治郎に引っ付いた。


「炭治郎はすぐに戸を閉めてくれたよ。それより…善逸はじっくり見てたよね?」
「ひえっ!?み、見てない…」
「私に嘘が通じると思ってるの?」
「ごべんなざいいい」


…あ、逃げた。


「炭治郎、何か用だった?」
「きよちゃんたちがおにぎりを作ってくれたから…訓練後に一緒に食べようと思って」
「ありがとう、全集中の訓練しよっか」
「う、うん…善逸はいいのか?」
「え?変態?いいよ無視で。」


珍しく怒っていた。



20 私だって怒る
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