爆豪くんのヒーローコスチュームを見せてもらった。
彼の個性は手のひらの汗が爆破の材料ニトロになり爆発するものだ。
見たところしっかり保温機能はついてるし、何か足りなそうなものは見当たらない。

そりゃプロが作ってるんだから当たり前だ。

しかしサポートアイテムを一つ以上作らないといけない以上、しっかり見て何か探さないと…。


「爆豪くん、ヒーローコスチュームの詳細用紙には載っているんですが、成長期ですしもう一度採寸してもいいですか?」
「勝手にしろや」


私はメジャーで彼の身体の隅々まで測っていく。
測り終え、やはり少し誤差があることに気付いた。


「あのぅ…サポートアイテムのほう…何か合ったらいいなって思うものありましたか…?」


爆豪くんは少し考える様子を見せて、今ンところは別に足りてる、とどこか言いにくそうに口を開いた。
少し申し訳なく思ってくれてるようだ。


「皆さん仮免の時にコスチューム改良やサポートアイテム追加したって言ってましたもんね…なかなか難しいです…」


爆豪くんは相変わらずそっぽを向いたままだった。


うーんと無い頭を捻る。
『こういうのを作ってください』というのなら作れるが、何も無いところから作り出すというのは骨が折れる。


「しばらく考えてみます…」


周りは希望アイテムの最終確認や、作り出している人なんかもいて焦ってしまう。
ただでさえ出遅れている。

後3週間。

サポートアイテムを考え、構造を練り、一つ一つ確認しながら作る。…時間がない。







「いーよなあ、爆豪とか緑谷は!」

合同授業が終わり、A組の教室に戻ってきた所で峰田が羨望と欲望の眼差しで見てくる。


「え、いいって…何が?」


デクが困ったように言う。


「だーって、合同授業の相手女じゃんかよ!緑谷の相手は距離近いし綺麗系だし露出してておっぱい見えそうだしよ!爆豪の相手なんて可愛い上に八百万並のプロポーションしてんじゃんかよ!」


はあ?と思う。
ココア色の長いウェーブがかった癖っ毛と、常に眉尻を下げた自信のなさげな大きく丸い瞳を思い出す。

確かに顔は整っていたが身体は特に見てねえ。
ていうかめんどくせぇ授業のペア相手なんてそこまで見ねえだろ。


「サポート科はヒーロー科と同じくらい女子少ねえからなー。」


会話に参加してきた上鳴もため息交じりだ。


「俺も相手男だったから羨ましいわー…あと確かに爆豪のペア相手可愛かったし!でも、おどおどしてるとことか髪の毛ふわふわしてるとことか、どっか緑谷っぽいよな!」


アホ面が親指を立てる。意味分からねえ。
だが、確かに必要以上にビクビクおどおどしてる所はデクに少し似ていてイラつく。


デクはデクでぼ、僕に似てる??!とあわあわしている。
そのデクの様子にイラついてチッと舌打ちして窓の外を眺める。


合同授業の先生の話を聞く限り、サポートアイテムが完成しなければあの女は単位が取れないらしい。
焦ってるあの女の様子を思い出すと、流石に少し、ほんっとうに少しだけ良心が痛んだ。



06 何も進まない
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