「占い?」

夜、女子たちが共同スペースのソファに座って雑誌を広げてる。

「そ、占い」

三奈ちゃんがニコッと笑う。
お茶子ちゃんがなになにー?と占いの乗った雑誌を覗く。

「好きな人との相性が分かるんだってー!」
「すっすきなひと!?」

ぶんぶんと腕を振って楽しんでいる様子の透ちゃんに、分かりやすくお茶子ちゃんが反応する。

「あーその反応!だれだれ!誰との相性知りたいのー!?」

三奈ちゃんと透ちゃんに突っ込まれてそんなんじゃないよ!!とお茶子ちゃんが顔を赤らめながら否定している。可愛いなあ。



「お互いの生年月日と血液型で占うのね。」


梅雨ちゃんが本当に当たるのかしら、と疑問そうにしている。
百ちゃんや響香ちゃんも信じていなさそうで少し冷ややかだ。


「なまえちゃんは?調べてみない?」
「えっ!」
「轟くんとの相性!知りたいでしょー?」
「わあっ!!ちょっと!しーっ!!」


急に話を振られてさらに好きな人の名前まで出されて驚いてわーわー!と一人で騒ぐ。


「占いなんて、か、関係ないよ…」
「とか言ってー。気になってんじゃん」


響香ちゃんがニヤニヤしながら言う。
今日の響香ちゃんは意地悪だ。


「そりゃ…気になる、けど…」
「じゃあ占っちゃおう!」


お茶子ちゃんも自分の話題から外れたことに安心してこんなこと言ってくる。
覚えてろよお茶子ちゃん。後で緑谷くんとの相性占ってやる。


「えーっと、轟くんの誕生日は…」
「轟さんの誕生日は1月11日ですわ。」
「ヤオモモ詳しいねー」
「クラス全員の誕生日を存じ上げてますの」
「…さすがヤオモモ!」


百ちゃんすごいなあ


「と、血液型…」


百ちゃんに視線が集まる。


「さ、さすがに血液型までは…」
「じゃあ占いできないじゃーん」



「O型だ」



低い声が、私の耳に息がかかりそうなほど近くで聴こえてとっさに背筋がぞわりとする。一瞬にして顔に熱が集まり、耳を抑えてバッと振り返る。


「とっ、轟くん!」
「占いやってんのか。俺と…誰とだ?」


端正な顔立ちが、すぐ側に。
恥ずかしくて俯く。顔が熱い。


みんなも驚いて絶句している。


轟くん一人だけ首を傾げる。


そこでようやく、梅雨ちゃんが「なまえちゃんと轟ちゃんの相性を調べてたの。個性の相性がいいから他の相性もいいかと思ったのよ。」と助け舟を出してくれた。


「そうか。俺はO型だ。みょうじは?」
「えっと…私は…」


血液型を伝えると「そうだったのか、初めて知った」と轟くんが微笑んだ。


「占いがどうかは知らねえが…多分俺とみょうじは相性良いだろ」


轟くんが、な。と私に同意を求める。
わけも分からず私はこくこくと頷いた。


(と、とにかく少し離れて〜!!近いよ恥ずかしいよ格好いいよ〜〜!!)


思いが伝わったのか、轟くんはすっと身を引いて、また明日なみょうじ、と微笑んで行ってしまった。



残された女子達からは、黄色い悲鳴。



なに今のー?!
轟、絶対脈アリじゃん!



そんな声が右から左へすり抜けていく。


「大変!なまえちゃん目を開けたまま失神しとる!」


轟くんが格好良すぎて、気を失った。



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