さっそく次の日の放課後、轟くんが個性の特訓に付き合ってくれることになった。

自習室を借りておいてくれたらしい轟くんが、相澤先生から鍵を受け取って鍵に付いてる番号の自習室まで案内してくれた。


初めて入った自習室は4畳くらいの広さで、机と椅子が二つ置かれていた。
とりあえず轟くんと向かい合って腰を下ろす。


「始めるか」
「は、はい」


二人きりで個室。流石に少し緊張する。


「まず確認なんだが、みょうじの個性はどういう時に発動するんだ?」


轟くんが真っ直ぐな目で問いかける。
真面目に私の個性について向き合おうとしてくれているのに個室で二人きりとか舞い上がってた自分が少し恥ずかしくなってくる。


「えっと…基本的には無意識で、急に嬉しくなったり悲しくなったりとかの感情に起伏があると個性が発動してる気が、します」


何となく敬語。


「…なるほど」


轟くんが腕を組んで考え込む。
私も一緒になって、どうしたら個性をコントロールできるのか考える。

感情を消すというのは難しい。
昔やったことあるけど正直私には無理だった。


「緊張状態だと出ねぇのか?」
「…えっ?そういえばどうだろう…」


試したことがないから分からない。
そもそも緊張してる時は嬉しいとかそういう感情にならないから出ないのかもしれない。


「… みょうじの個性は感情に直結してるからな。コントロールするのは個性というより感情って感じだな…それだけに難しい」 


轟くんは簡単にできることじゃねぇよな、と頭をかいた。


「そうなの…どうしたらいいか本当に分からなくって」
「素直なとこがみょうじの長所だしな。それを我慢しろと言うのはちょっと違ェ気するし」


長所、なんて言われると少し嬉しい。


「花、咲いたな」
「…あっ」


恥ずかしくて俯いた。
轟くんはくつりと笑った。


「個性発動しそうになったら意識して無になってみるとか。…これも感情我慢してるみてぇなんもんだけどな」

確かに一瞬でも他のことに意識を集中させればパッと消えるはず。
先ほど咲いた花も今はもう跡形もなく消えている。

「悪ィ、これくらいしか思いつかねぇ。」
「ううん、そんな…とりあえず嬉しいとか悲しいって思った時に意識を集中させてみる!…やっぱり難しいけど」


よし、と意気込む。


「ありがとう。ずっと諦めてたけどまた頑張ってみるね」
「ああ。簡単なことじゃねえと思うし、俺も的確なアドバイスはできねえけど…また何かあったら俺を頼ってくれるか?」


轟くんの色の違う二つの瞳が、真剣な眼差しで私を見つめる。
少し熱を持った瞳がすごく綺麗で私の心臓がどきりと音を立てた。


私はこくりと頷いて、轟くんと微笑んだ。


幸せだなあと思ってたらまた無意識に花がふわりと舞って、慌てて意識を集中させる。
花はパッと消えた。



05 舞い上がる気持ちを抑えて
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