「デクくーーん!!」
ガラクタの山の向こうにいる、緑谷くんに手を振る。
「おーい!大丈夫ーー!?」
「怪我はないか二人ともーー!?」
緑谷くんも元気に手を振り返してくれた。
「大丈夫!オールマイトも博士も無事だよ!!」
「皆も大丈夫ーー!?」
メリッサさんの言葉に大丈夫でーす!と皆で答える。
そしてまた、皆が無事だった事にホッとして喜びあった。
▽
「それにしても大変だったよなあ、今回は」
「アンタほとんど何もしてないじゃん」
上鳴くんがお肉を頬張りながらため息混じりに言う。
それを見た響香ちゃんは少しだけ意地悪な顔をして笑う。
エキスポのプレオープンはビルの倒壊により延期となり、私たち1年A組の皆はバーベキューを楽しんでいた。
「何もしてないはひどくねぇ!?頑張ったじゃん!」
「あーはいはい」
いつも通りの上鳴くんと響香ちゃんに思わず苦笑しつつ、私もお肉を頬張る。うん、美味しい!
本当に大変な一日だった。
私が自分の力の限界を思い知った事件でもあった。
もうすぐ林間合宿が始まる。
この林間合宿で私はもう少し強くなれるのかな。
「… みょうじ、大丈夫か?」
「轟くん」
二人分の飲み物を持った轟くんが、私の顔色を伺うように覗き込む。
私はハッとして顔を上げた。
その頬にぴとりと冷たい缶ジュースを当てられ、思わずひゃっと声を上げる。
「疲れたか?」
「い、いや…大丈夫…」
突然冷たいものを当てられたということ、轟くんがそんなことをするとは思わなかったという二つに驚きつつ頬をさする。
「今回はみょうじに怪我がなくて何よりだ」
「轟くんにも怪我がなくて良かったよ」
缶ジュースを受け取ってお礼を言うと、ぷしゅとプルタブを開けてこくりと飲む。
しゅわしゅわと炭酸が染み入る。
「俺とみょうじ、意外と相性いいのかもな」
「…へっ!?」
相性、相性って…?
私は思わず顔を赤くして、持っていたジュースを溢しそうになる。
「戦闘のコンビネーション、良かったと思ったんだが…」
「あっ!う、うん!そうだね!!」
どきどき、と心臓がうるさい。
何を勘違いしてるんだ私は。馬鹿か。
「あっ!お、お肉!たくさん焼けてるよ!早く食べないと無くなっちゃう!」
私は恥ずかしくなって慌てて皆の元へ駆け寄る。
「俺とみょうじの仲も、相性良いと良いんだけどな」と轟くんが思ったのを私は知らない。
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8話