「みょうじ」


全て終わり、私たちはバスまで移動中。
他の人たちはワイワイ試験内容について語り合ったり、他校の人たちと交流を深めたりしている中で轟くんが私を呼んだ。


振り向いて首を傾げると、轟くんが少しだけ気まずそうに首の後ろを触りながら言い淀む。


「仮免取ったら言おうと思ってた言葉があったんだけど…落ちたから仮免取り終えた後にみょうじには言っておきてぇことがある。覚えててくれねぇか」
「…?うん、いいけど…そんなに大事なこと?」


私がそう聞くと、ああ大事だと真面目な顔で私を見つめる。
何だかその雰囲気に私はそわそわ居た堪れなくなる。
だって、とても熱い瞳で私を瞳を射抜くから。


「みょうじの事、俺がどう思ってるか聞いてほしいから。仮免取ったら聞いてくれ」
「…っ!!」


それって、それって…。


「と、どろきくん…」


顔に熱が集まっていく。
頭が白くなって何も考えられなくなる。
だって、そんなの。


…私のこと好きって言っているようなものじゃない。


私の全身がありえないほど熱を持ち、震える手が思わず轟くんを掴もうとすると、黄色い悲鳴が耳に入ってきた。


「轟!それって、それってさぁ!」
「び、びっくりー…」
「今のそうだよな!?そーいうことだよなぁ!?」
「待て待て!!言ってやるな!轟の口から言うまではお前ら聞かなかった事に…」
「オイラ聞いたぞ!クラスでリア充なんて許さねーぞ!」
「あっこら峰田!!」
「皆!!早くバスに乗るんだ!時間が押してるぞ!」
「皆さん話は後ですわ。バスに乗ってください」
「そっ、そうだよ!バスに乗ろう!ほら!」


三奈ちゃん、透ちゃんがきゃーきゃー言い、上鳴くんと峰田くんがぶつぶつ文句を垂れながらそれを止める切島くん。
これ以上突かれないようにバスへ誘導する飯田くんと百ちゃんと緑谷くん。

他のクラスメイトたちは各々やっぱりなとかとうとうかとか言い合っている。

クラス中の注目の的になってしまっている事に更に恥ずかしくなって、私はお茶子ちゃんと梅雨ちゃんの後ろに隠れるようにバスへ乗り込んだ。



80 それって最早、
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テーマ「人外ファンタジー」
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