「昨日話した通りまずは仮免取得が当面の目標だ。ヒーロー免許ってのは人命に直接関わる責任重大な資格だ。当然取得の為の試験はとても難しい。仮免と言えどその合格率は例年5割を切る」


仮免で5割切るなんて…思ったよりキツいんだなあと眉を顰める。


「そこで今日から君らには一人最低でも二つ…」


くい、と相澤先生が教室のドアに合図を送る。
するとドアがガラリと開いて、ミッドナイト先生、エクトプラズム先生、セメントス先生が入ってくる。


「必殺技を作ってもらう!」
「「「学校っぽくてそれでいてヒーローっぽいの来たあああ!!!!」」」







体育館γ…通称…


「トレーニングの台所ランド、略してTDLだ」


TDLはまずくないですか…!?大丈夫!?
と言いたくなる気持ちを抑える。


「ここは俺考案の施設。生徒一人一人に合わせた地形や物を用意できる。そういう意味で台所だよ」


なるほど…なるほど…??


「質問をお許し下さい!」

飯田くんがビシッと手を挙げる。

「何故仮免許の取得に必殺技が必要なのか意図をお聞かせ願います!!」
「順を追って話すよ。落ち着け」


ヒーローとはあらゆるトラブルから人々を救い出すのが仕事。取得試験ではその適性を見られる。

情報力、判断力、戦闘力、魅力、統率力、コミュニケーション能力…。
多くの適正を毎年違う試験内容で試される。
その中でも戦闘力はこれからのヒーローにとって極めて重視される項目になる。その為の必殺技と言うわけだ。


「つまりこれから…後期始業まで残り十日余りの夏休みは、個性を伸ばしつつ必殺技を編み出す……圧縮訓練となる!」







轟くんの動きを参考にして、ガラスを足の裏から作り出して移動する。

「移動速度を上げる!」
「ガラスノ上、滑レバモット早クナル」
「確かにそうですね!?」

それから、基本ナイフで戦う手前私は近接攻撃の方が得意だ。
私は小柄な方なので隠れながら相手を攻撃できるならそうしたい。

…となると、あんなアイテムもいいかもしれない。


「移動速度早メル方向デ行クカ?」
「今日はそうします!」







4日後…。

「みょうじ、うつ伏せになって何してんだ?」
「上鳴くん!新しいサポートアイテム試してたんだ」
「おお、…って何だそのゴツいの!かっけぇ!」
「男の子は、こういうの好きだよね。こっちに小さいのもあるよ」


切島くんもやって来て、私のアイテムをかっけえ!といじくる。


「みょうじは近距離専門だと思ってたぜ!」
「それでももちろん良いんだけど、出来る幅が広がればもっと色んなことが出来るかなって思って…」
「なるほど、それで"コレ"か」
「コスチュームも相まって本物っぽいな!」
「ふっふー、そうでしょうそうでしょう!そう言えば二人もちょいちょい変わってるね!?格好いいよ!」


切島くん上鳴くんは少し照れながらそうか!?と微笑む。


そして別れてまた各々訓練に戻る。


元々ナイフで遠くのものを狙うのはやっていた。
それから3年の担任、スナイプ先生にちょこっと教わったり。

と言ってもまだまだ精度が高いわけではないのでもしもの時の付け焼き刃程度なんだけど。


一発攻撃を放っては移動し身を隠し、狙いを定め…を繰り返す。移動速度も速くなったし訓練の成果が出てる!



73 編め必殺技
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