8月中旬

私たちは今日、家を出る。


雄英敷地内
校舎から徒歩5分の築3日。


"ハイツアライアンス"



ここが新たな私の…いや、私たちの家だ!


「でけー」


1-Aと書かれた雄英校舎に似た寮。
クラスメイト達は寮を見上げてほうと息をつく。


「とりあえず1年A組無事にまた集まれて何よりだ」


皆ご両親の許可が降りたようでホッとした。
透ちゃんは少し苦戦したらしい。
響香ちゃんと透ちゃんは実際に被害に遭ったから仕方のないことだけれど。


「無事に集まれたのは先生もよ。会見を見たときはいなくなってしまうのかと思って悲しかったの」
「うん」


梅雨ちゃんとお茶子ちゃんが少しホッとしたような顔で言う。それに対して先生は、俺もびっくりしてると頭をかいた。


「まぁ色々あんだろうよ。さて…!これから寮について軽く説明するが、その前に一つ。当面は合宿で取る予定だった仮免取得に向けて動いていく」


「そういやあったなそんな話!」「色々あって頭から抜けてたわ…」と声が上がる。
私もすっかり忘れていた。


「大事な話だ、いいか。轟、切島、緑谷、八百万、飯田…この5人はあの晩あの場所に爆豪・みょうじを救出に赴いた」


…!
思い当たる節があるのか、先生から目を逸らすクラスメイトたち。


「その様子だと行く素振りは皆も把握してたワケだ。色々棚上げした上で言わせてもらうよ。オールマイトの引退がなけりゃ、爆豪・みょうじ・耳郎・葉隠以外全員除籍処分にしている」
「!?」

そんな…。
皆、爆豪くんや私の為に助けに来てくれたのに。
それでも確かに仮免も持っていない一生徒があの場に赴くことがどれだけ危険だったか。
何も言い返すことができず悔しい思いでいっぱいになって、唇を噛んだ。


「彼の引退によりしばらくは混乱が続く…敵連合の出方が分からない以上、今雄英から人を追い出すわけにはいかないんだ。行った5人はもちろん、把握しながら止められなった12人も理由はどうあれ俺たちの信頼を裏切った事には変わりない。正規の手続きを踏み、正規の活躍をして信頼を取り戻してくれると有り難い。…以上!さっ中に入るぞ。元気に行こう」



いや待って…行けないです…。
恐らく皆の心が一つになった瞬間だろう。

皆私と同じように悔しそうな顔や不安そうな顔をしていた。
私もどうしていいか分からず制服のスカートの裾をぎゅっと掴んだ下を向いていた。


「チッ!来い」
「え?何やだ」


爆豪くんが植木の後ろに上鳴くんを引っ張って連れていく。
それを皆頭上にクエスチョンマークを浮かべながら見つめた。
しばらくすると向こう側で電気がバチバチと弾ける音がしてきて、うェ〜〜〜いとアホ状態になってしまった上鳴くんが姿を表す。

私はわあ、と声を出す。


「バフォッ!」
「…何?爆豪何を…」


吹き出す響香ちゃん、爆豪くんの急な行動に驚いてる瀬呂くんが爆豪くんに問いかけるが無視して切島くんにつかつかと歩み寄った。



「切島」
「んあ?」


すっ、とポケットから万札を取り出す。


「え、怖っ!何カツアゲ!?」


ぶふっと今度は私が吹き出した。
確かにこの状況でお金出してきたらそう思うよね!?


「違え、俺が下ろした金だ!半分はみょうじだけどな!」
「切島くん、私たちの為に暗視鏡まで買って助けに来てくれたんだよね、ほんとありがとうね」
「いつまでもシミったれられっとこっちも気分悪ィんだ」
「あ…え?!どこでそれ聞い…」
「いつもみてーに馬鹿晒せや!」


爆豪くんと切島くんが何やら通じ合ってる後ろで、上鳴くんがうぇ?うぇいうぇ!と何やらうぇい語を喋っているようだ。
響香ちゃんはそれがツボらしくヒーヒー言いながら笑っていた。
周りもそれを見て和やかなムードになって、皆で寮の中へようやく足を踏み入れた。



70 入れ寮
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