私たちは最上階へ向かって階段を登り出した。
最上階は200階らしい。
どんだけ高いのこのタワー。


ヒーローとして鍛えている私たちでも階段を登り続けるのは大変だけれど、技術者として日々勉強しているメリッサさんには更にキツイようで、疲れ気味のメリッサさんを案じながら上に登って行くと、階段の踊り場にシャッターが下りていた。


「シャッターが!」
「どうする、壊すか?」
「そんなことしたら警備システムが反応して敵に気付かれるわ!」
「なら、こっちから行けばいい」


峰田くんが、扉を開こうとドアノブに手を掛ける。


ドアを開ければシステムを管理している敵に気付かれてしまうだろう。


「峰田くん!」
「駄目!」


止めようとする前に、峰田くんがドアノブを引いてしまう。
開けてしまったので仕方ない。
恐らく敵に気付かれてしまっただろうが、扉の向こうへ全員でやっちまったなーという顔をしながらも走り出す。


「他に上に行く方法は!」
「反対側に、同じ構造の非常階段があるわ!」
「急ぐぞ!」


飯田くんが先導して行くと、目の前の廊下のシャッターが下りて行く。
やっぱりさっきので敵に気付かれていた様だ。
更に後ろのシャッターも次々と下りて行く。


「轟くん!」
「ああ!」


轟くんの氷結でシャッターが下りるのを防ぎ、その隙間を飯田くんが走って行き、近くの扉を破壊する。


「この中を突っ切ろう!!」


大胆だなーと苦笑しながら飯田くんに続いて行く。
80階の温室の植物プラントにたどり着いたようだ。
とにかく一刻も早く200階を目指さなければ。
私たちが植物プラントを突っ切って走っていると、目の前のエレベーターが上に上がって来ていた。


「敵が追って来たんじゃあ…」
「隠れてやり過ごそう!」


私たちは全員で植物の中に身を潜める。
そしてエレベーターの様子を遠巻きに見つめる。


「あのエレベーター使って、最上階まで行かねえかな!?」
「無理よ…エレベーターは認証を受けてる人しか操作できないし、シェルター並に頑丈に作られてるから破壊もできない」
「使わせろよ文明の力!」
「全くだよね峰田くん」


ティンロンと音がして、エレベーターの扉が開く。
中にはやっぱり敵が乗っていた。


「ガキはこの中にいるらしい」
「面倒な場所に入りやがって」


こっちに来るよ!とお茶子ちゃんが焦る。静かに!と緑谷くんが焦った声で制して、皆息を殺して身動ぎせずにいる。


「見つけたぞぉ!クソガキども!」


びくぅと私の肩が大きくのけぞって思わず轟くんにぶつかってしまった。
轟くんが私を支えて、大丈夫だと耳元で囁く。
私はその近さにびっくりして、顔に熱が集まり身体が反応しそうになるのを必死で抑えた。


「ああん?!今なんつったテメェ!」

俯いていると、爆轟くんの声が聞こえて来て驚いて顔を上げる。


えっ…!?爆豪くん、切島くん!?


なんでこんな所に…?
私は首を傾げる。


「お前らここで何をしている」
「そんなの俺が聞きてえ」
「ここは俺に任せろ、なっ!あのぉ〜俺ら道に迷ってしまって、レセプション会場ってどこにいけば…」


ぷっ…と笑いそうになるのを慌てて両手で押さえる。
道に迷って80階くるとかないでしょ!
ありえなすぎて、私はくつくつと肩を震わせて声を出さないように一人で笑い続ける。


「見えすいた嘘ついてんじゃねえぞお!!」


個性を使い、敵が爆豪くんたちに振りかぶろうとしたのを見て、思わず私の身体が動いた。


パキパキ、と音がして轟くんの大氷壁と私のガラスの壁が絡み合うようにして敵と爆豪くん達の間に割って入る。


「この個性は…」
「轟と… みょうじ!?」


爆豪くんと切島くんが驚く。
私と轟くんの壁に敵が攻撃しているようでばきんばきんと音を立てる。


「チッ!俺たちで時間を稼ぐ。上に行く道を探せ!」


轟くんが氷の柱を作って、全員を上に連れて行く。


「轟くん!?」「君は!」「なまえちゃんも!!」「なまえさん、轟さんっ!?」
「いいから行け!みょうじは俺が守る、ここを片付けたらすぐに追いかける!」
「大丈夫、皆先に行っててね!!」


切島くんが首を傾げながら駆け寄ってくる。
爆豪くんも眉を顰めてその様子を眺めている。


「どういうことだよ、轟、みょうじ!」
「放送聞いてないのか!」
「敵に占拠されたんだよ、このタワー」
「うぇっ!?」「何だと…!?」


いや道に迷って何処にいたの、放送も聞こえないようなところって何処…。
それにしても二人とも正装似合ってるなあ!



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