飛行機から降りて、I・エキスポを一望する。


「うわあ…!!」


少し後ろからやって来た轟くんも、おぉ、と声を出す。


「すごいね!ほら、あそこ!噴水が形変えてる!あ、あっちには大きなハープが…」
「…とりあえず行くぞ」


腕を引っ張られ連れて行かれる。
下まで降りて、I・エキスポの中へ踏み入れる。


ふと案内係の女の人と目が合う。


「I・エキスポへようこそ!可愛いヒーローカップルさん」
「かっ、カカカ!?」


私が驚いているのをよそに、エキスポ内の説明をしてくれる。
私はそ、そんなんじゃ…ともごもご言いつつ、頭の中が真っ白になって全く説明を聞いていなかった。


「みょうじ」
「は、はいっ」
「みょうじが興味ありそうなとこ、今の人が説明してた…行ってみるか」
「うっ、うん!」


紳士か…。


二人で色々見て周る。
こうしてると人口の島だなんて、思えないなあ。
しかも近代化が進みまくってるし。


二人で歩いていると、数人のプロヒーローが人だかりを作っているのを見かけた。
プレオープンにはプロヒーローも招いてる為だろう。
私は有名なヒーローが生で見れたことに感激しつつ、目を輝かせながら様々なところに視線を移す。


将来はあんな風に人に囲まれるくらい有名なプロヒーローになりたいものだ。


と思いながら歩いてると、少し先に大きな建物が見えて来て、轟くんがその建物に指を刺す。


「あそこのパビリオンがオススメだって言ってたな」
「行ってみようか」


二人でパビリオン内に入る。
中に入ると、最新のヒーローアイテムがずらりと並んでいた。
実際に使用できるものやアイテムの説明映像なんかを二人で見て喋りながら周っていると、パビリオンを出る頃にはあっという間に時間が経っていた。


「何かあっちの方にアトラクションもあるみたいだね!」
「興味あるのか?」
「ちょっとだけ…」
「じゃ、行くか」


歩き出す轟くんを慌てて追いかける。
轟くん、さっきから
自分のこと後回しな感じするけどいいのかな…?


「とっ、轟くんは?!行きたいところとか…」
「特にねえ。みょうじが行きたいならついてく」


ダメか?と首を傾げられる。
ダメじゃないです。

最近の轟くんはなんか…ズルイ!



しばらく歩いて、岩場のような施設に到着する。



「ここ!ヴィラン…アタック?だって!えーっと…仮想敵を何秒で倒せるか競うみたい」
「みょうじやるか?」
「えっ、わ、私!?…私は轟くんがやってるとこ見たいな」


アトラクションのお姉さんが私たちに気付いて笑顔で近付いてくる。


「やってみますか?!」
「あ、ああ…じゃあやるか」
「頑張って、轟くんっ」
「おお」


お姉さんに連れられ、轟くんはスタート位置に着く。



『ヴィランアタック…レディーゴーッ!!』


すぐにしゃがんで、岩場を敵ごと速攻で凍らせる。
あっという間に岩場は氷でキンキンに覆われていた。


『きゃーっ!すごいすごいすごーい!!14秒!!現在トップに躍り出ましたー!!』


ふう、と白い息を吐き出す轟くん。
私は轟くんに駆け寄る。


「すごいよ轟くん!格好よかった!」
「そうか?」


周りからもわあっと歓声が上がる。


「トップだよ!トッ…」
「テメェ!!半分野郎!!」


どこからか爆発しながらすごい剣幕で飛んで来る爆豪くんに思わずビビって轟くんの後ろに隠れる。


「ひえっ、爆豪くん!?…って、あ!皆ー!!」


高台から百ちゃんや何人かクラスメイト達がアトラクションを見ていた。
手を振ると苦笑いしながらも振り返してくれた。


「いきなり出てきて俺スゲェアピールかコラあ!!」
「わあ、爆豪くん今日も元気だね!」
「うっるせガラス女ァ!」


わあー相変わらずすんごい怖い。


「緑谷たちも来てんのか?」
「無視すんなコラあ!!!」


火に油注ぐ轟くん。
お姉さんが次の人が待ってるんですけどというと爆豪くんが次も俺だと食ってかかる。


「皆ぁ!止めるんだ!雄英の恥部が世間に晒されてしまうぞ!!」


どこからか飯田くんが走ってきて、上から緑谷くんと切島くんが止めに飛び降りてくる。


「…あは、は…」


私は巻き込まれないように少し遠巻きにその様子を眺めた。



2話
×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -