!注意!
映画二人の英雄の内容になります。
視聴済み、問題ない方のみどうぞ











「I・アイランド…ですか」

総合病院の応接室。
目の前に座るのは私の父の弟…つまり叔父。
将来この病院の院長になる人だ。


「I・エキスポのプレオープンの招待状が院長に届いてね。忙しいし興味もないって言ってたからヒーロー目指してるなまえにどうかなって話が出たんだよ」
「それは…。それ、お祖父さんが言ったんですか?」
「ああ…いや、僕がね。体育祭での活躍も見てたし、ちょうどいいと思ったんだ。みょうじ家的にも誰も参加しないとなるとせっかく頂いたのに角が立ってしまうだろう?」


つまり、利用できるもんは利用してやろうという魂胆丸見えなのですが。
しかし、I・アイランドのエキスポか。


行けないと思ってた。
先日百ちゃんが余った二枚のチケットを持って女子たちを集めて誰が行くか話し合った結果公平を期してジャンケンすることになり負けてしまったのだ。

一応みんなでI・アイランドには行く予定だったが、まさかエキスポのプレオープンにまで参加できるとは。


「どうする?なまえ」
「誰も行かないなら行きます!もちろんみょうじ家に恥はかかせません!」


叔父さんは苦笑しつつチケットを一枚渡してくれた。


叔父にお礼を言いお辞儀して、応接室を後にする。
廊下に出て、ふうと息をつく。


「何か用だったのか?」
「うん…I・エキスポのプレオープンチケットが…」



聞き慣れた声に思わず何も考えず反応する。

って…え?

違和感を感じて振り向くと、轟くんが立っていた。


「うわあっ、び、びっくりした」
「悪ィ」


表情一つ変えずに私の横に立つ。
そして私の手元のチケットに目を落とすと、なるほどと頷いている。


「みょうじ、少し時間あるか」
「う、うん」







「今日はお見舞い?」


病院の近くの喫茶店に二人で入り、席に着く。
注文を終わらせると本題に入る。


「ああ。…さっきI・エキスポがどうとか言ってたよな?みょうじも行くのか?」
「も、ってことは…」


轟くんが頼んだコーヒーと、私が頼んだショートケーキが運ばれてきて、轟くんは店員さんに軽く会釈する。私も同じ様に会釈する。
それからお砂糖もミルクも入れずにコーヒーを一口飲んで頷く。


「俺も行く。まあ…親父の代理だが」
「そうだったんだ、私も似た感じかな。祖父の代理でさっきチケットもらって」
「そうか。…よかったら一緒に周らないか?」
「えっ、いいの?」


ああ、と微笑む。
轟くんは私が頼んだショートケーキに視線を移す。


「…食わねえのか?」
「あっ、い、いただきます」


ぱく、とショートケーキを一口口に入れる。
生クリームとスポンジと苺の配分も、甘さもちょうどいい。
美味しい。


「美味そうに食うな、お前」
「す、好きで…ショートケーキ」
「…そうか」


ふっと微笑ましいものでも見るように笑われた。
絶対子供っぽいって思ってる…!


「I・アイランド行くの、そんな乗り気じゃなかったんだが… みょうじと行けるなら悪くないかもな」
「と、轟くん…!」


なんか最近、真顔でこういうこと言われるからドギマギしてしまう。
私も轟くんと一緒にいて嫌なわけじゃない…むしろ嬉しいけど、恥ずかしげもなく言ってしまう轟くんにただ驚かされてしまう。


でもまあ…今はまだ行ったことのないI・アイランドへのワクワクが勝っていて。



「楽しみだね、轟くん!」
「ああ」



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