テレビから聞こえてくるのは先生たちの謝罪。
そして、敵に対しては爆豪くんの体育祭での行動や言動を見て隙と捉えたなら敵は浅はかだと言い切った相澤先生。


「ハッ、言ってくれるな雄英も先生も…そういうこったクソカス連合!!」


私をしっかりと自分の後ろに置いてくれる爆豪くんに優しさを感じる。
爆豪くんが挑発してしまってる手前、最早いつやられてもおかしくない状況だ。特にオマケの私は。
そのことに気付いてるからこそ、爆豪くんは私を自分の後ろに追いやったのだ。
数人やっつけて脱出。

私だって彼の足手まといになるつもりはない。


「言っとくが俺ァまだ戦闘許可解けてねえぞ!」
「自分の立場よく分かってるわね…!小賢しい子!」
「刺しましょう!」
「いや…馬鹿だろ」
「その気がねえなら懐柔されたフリでもしときゃいいものを…やっちまったな」


確かにやっちまっちゃってるけど…。
それが爆豪くんなんだよねえ。


「したくねーモンは嘘でもしねんだよ俺ァ。こんな辛気くせーとこ長居する気もねえ」
「私も同意見でーす!馬鹿だろうが何だろうが貴方たちに嘘でも頷きたくありませーん!」


おかしい。
死柄木の様子が。
それを察した黒霧が動き出す。


「いけません死柄木弔!落ち着いて…」


死柄木から殺気の篭った瞳で睨まれ、一瞬怯む。
すぐに身構えると、よろと死柄木が動いて手を出させないように腕で制する。


「手を出すなよ…お前ら…こいつらは大切なコマだ」


す、と爆豪くんに吹っ飛ばされ落とした手を顔に着ける。
何なんだその手は。


「出来れば少し耳を傾けて欲しかったな…君とは分かり合えると思ってた…」
「ねぇわ」
「仕方がない。ヒーロー達も調査を進めていると言っていた…悠長に説得してられない。先生、力を貸せ」







「先生ぇ…?てめェがボスじゃねえのかよ…!白けんな」
「黒霧、コンプレスまた眠らせてしまっておけ」
「ここまで人の話を聞かねーとは…逆に感心するぜ」
「聞いて欲しけりゃ土下座して死ね!」
「ぷっ」


土下座して死ぬとかどんな死に方!?
慌てて笑いそうになるのを堪える。

…というよりどうやって脱出するか考えなくては。
幸い出口は後ろ。
爆豪くんが爆破したのと同時に目の前にガラスの壁を作って爆風で見えなくなっている間に逃げる…。
うん、これで行こう。



と考えていると、後ろのドアにコンコンとノックがされた。


「どーもォ、ピザーラ神野店ですー」


へ…?ピザ…?


ぽかんとしていると、ドアがばごんと凄い音立てて破壊され、オールマイトが突入してきた。
私は歓喜と驚愕で思わずひええっと爆豪くんにひっついた。
爆豪くんはウゼェと言わんばかりに私を引っ剥がす。


「何だぁ!!?」
「黒霧!ゲート…」

「先制必縛…ウルシ鎖牢!!」


オールマイトに続いてシンリンカムイ、グラントリノが入ってきて敵たちを拘束、攻撃して行く。

「す、すご…」

私が呆気に取られてると爆豪くんが私の腕を引っ張る。

「へ?何?」
「危ねェだろうがグズ。まだ大人しく後ろにいろや」
「あ、ありがと」
「チッ」


何故か舌打ちされた。
そりゃそうか。ただ爆豪くんの足を引っ張っただけだったような気がする。


外にも多数のプロヒーローが現着していて、包囲しているらしい。


「怖かったろうに…よく耐えた!」

オールマイトがやってきて、私と爆豪くんを褒めた。

「ごめんな…もう大丈夫だ少年少女!」
「こっ…怖くねえよヨユーだクソッ!」
「私は少し怖かったですっ!」

オールマイトはぐっと親指を立てる。


「せっかく色々こねくり回してたのに…何そっちから来てくれたんだよラスボス…仕方ない…俺たちだけじゃない…そりゃあこっちもだ。黒霧、持ってこれるだけ持って来い!!!」


まさか、あの脳無とかいう化け物をまた…!?
っていうかアレそんなにたくさんいるの…と身構えていたがシンとしていて、脳無はいつまで経っても現れなかった。


「すみません死柄木弔…所定の位置にあるハズの脳無が…ない…!!」


私は首を傾げた。
そしてすぐに理解した。


「やはり君は青二才だ死柄木!」
「あ?」
「敵連合よ君らは舐めすぎた。少年の魂を。警察のたゆまぬ捜査を。そして…我々の怒りを」



63 GEKITOTSU
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