かなり遠くに飛ばされたのでやっとのことで森から抜け出し、もう少し施設に着くと言うところで相澤先生を見かけた。


「先生!!」


先生は私の姿を見ると少し眉を顰める。


「今、緑谷くんが洸汰くんを守るために敵と対時してます!私は敵に崖下まで吹っ飛ばされました!でもまだ戦えます!!一緒に来てください!!」
「緑谷が?…とにかくお前は施設に戻れ」
「戻れません!緑谷くんに応援を呼んで戻ってくると約束しました。それに…」


誰かが走ってくる音が聞こえて敵かと身構えながら振り向くと、ボロボロの緑谷くんが洸汰くんを背負って立っていた。


「う、うそ!み、緑谷くん…倒したの!?」
「みょうじさん…うん、何とか…それより先生!大変なんです…!伝えなきゃいけないことがたくさんあるんです…とりあえずマンダレイに伝えなきゃいけないことがあって…」


緑谷くんは相当パニックに陥っているのか要領を得ない話内容だった。
洸汰くんを下ろして相澤先生に洸汰くんを託す。


「洸汰くんをお願いします!水の個性です!絶対守って下さい!お願いします!」
「ま、待って緑谷くん!!」


駆け出した緑谷くんの後を慌てて追いかける。
後ろからは相澤先生が「待て、緑谷!みょうじ!」と呼ぶ声が聞こえて足を止めた。


「その怪我…またやりやがったな」
「あ…いやっでもこれは…」
「だから、彼女にこう伝えろ」







緑谷くんについて走るのは困難だった。
ボロボロな身体なのに何処からそんな力が出るのかと不思議に思いながらもとにかく走ってからについていく。

そして遠くにマンダレイがまだ先程の敵と対時してるのが見えて、緑谷くんのスピードが更に増して敵の武器を蹴り飛ばす。


「マンダレイ!!洸汰くん無事です!」
「君…」


驚いてるマンダレイに、私が説明をする。


「イレイザーヘッドからの伝言です!A組B組総員…プロヒーローイレイザーヘッドの名に於いて戦闘を許可する!!と」


私の言葉を聞いたマンダレイが一瞬目を見開いてから、こくと頷いてテレパスで指示する。


「伝達ありがと!でも君たちは戻りな!特に君は怪我が尋常じゃない!」
「いやっ…すいません!まだ!もう一つ…伝えて下さい!敵の狙い少なくともその一つ…かっちゃんが狙われてる!テレパスお願いします!」


早口でそう言い終わるとびゅんと走っていく。
私もその後を追う。緑谷くんあの怪我で本当によく動けるな!?アドレナリンドバドバ出てるんだろな。


「かっちゃ…誰!?」
「バクゴーくんです!!では、お願いします!」


走りながらマンダレイに叫ぶ。
聞こえたかな。
しばらく走ってると頭の中でかっちゃんかっちゃん聞こえて来たので聞こえてなかったようだ。ごめんかっちゃん。


「みっ…緑谷くん!私が爆豪くんのところに行くから、君はもう休んだ方がいい!!本当にやばいよっ…!?」


バン!と何処からか銃声が聞こえた。
何だ、敵の攻撃か…?


きょろきょろと辺りを見渡していると、すん、と風が横切った。


突然暗闇から影のような物が現れて緑谷くんを襲っていた。


「緑谷くんっっ!!」


緑谷くんは身体が痛むのか動きが鈍くなっていた。
慌てて助けようと踏み出した時、誰かが緑谷くんを抱えて攻撃を避けた。


「…!」


ぽたぽたと手から血を流した障子くんだった。


「障子くん!」
「その重症…動いていい体じゃないな。友を助けたい一心か、呆れた男だ」
「止めようとしたんだけどね…それより今の攻撃って…?」


ああ…と障子くんの視線が血を流した手に移す。


「敵に奇襲をかけられ、俺が庇った…しかしそれが奴が必死で抑えてた個性のトリガーとなってしまった。ここを通りたいならまずこれをどうにかせねばならん」


抑えてた…個性…?
それって一体…と思いながら視線をさっきの攻撃の方向へ向ける。


「あ…」


ダークシャドウに覆われて、必死に抵抗している彼。



「俺から…っ離れろ…死ぬぞ…!!」
「常闇くん!!」



59 混乱渦巻き
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