「必ず助けるって…?はぁははは…さすがヒーロー志望って感じだな。どこにでも現れて正義面しやがる」


じり、と二人構える。


「緑谷ってやつだろお前?ちょうどいいよ、お前は率先して殺しとけってお達しだ」


敵の右腕から筋肉のようなものが見える。
増強型の個性か…。


大きく振りかぶって、緑谷くんが岩場に飛ばされた。
速い…!
私は洸汰くんの前に気休めになるかも怪しいガラスで壁を作り出しす。


「緑谷くん!」
「来ちゃダメだみょうじさん!」

喋っている間に、緑谷くんのすぐ目の前に敵が詰め寄った。
速すぎる。

「あ、いけね。そうそう、知ってたら教えてくれよ…爆豪ってガキはどこにいる?一応仕事はしなくちゃあ…」


爆豪くん…!?
何で爆豪くん…?
とにかくこいつらの目的の一つが分かった。


私は右足をだんと踏みしめて地面に這わせながら鋭利なガラスを出し敵を貫こうとする。


「あっぶねえもん出すなよ…」


ひゅん、と風を切るような音が聞こえて気付くと目の前に敵が来て右足が私を蹴ろうとしていた。
咄嗟にガラスの縦を作って衝撃を和らげるが、耐えきれず吹っ飛ばされ、岩場に叩きつけられた。


「うっ!」

いったあ、馬鹿力すぎない…?

「みょうじさん!!」
「大丈夫!」


素早く起き上がって、ナイフを投げる。
トトッと腕に刺さったのに何の反応もない。
…筋肉でナイフを止めているんだ。


「で、さっきの答えは…知らないでいいか?いいな?よしじゃあ…遊ぼう!」


どすん、と蹴りが緑谷くんの腹に入る。
いつの間にあんなとこまで移動したんだ。

また岩場に叩きつけられた緑谷くんから血が流れ出し、それを見た敵は高笑いをする。


すかさず緑谷くんが殴りかかるが筋肉に止められる。
あの緑谷くんの速い攻撃を真正面から受け止めて何のダメージもないなんて…。


「なんだ?それが個性か!?いい速さだが…」

ぐあっ、と緑谷くんが声を出して吹き飛ばされる。

「力が足りてねえ!!」


考えろ、私に出来ることは何だ!?
ナイフじゃダメだ。
もっとデカく鋭利で強度のあるガラスで貫かないといけない…でもそれじゃあ…殺してしまうかもしれない…っ。


「俺の個性は筋肉増強、皮下に収まんねえ程の筋繊維で底上げされる速さ!力!!何が言いてえかって!?自慢だよ!つまりお前は俺の…完全な劣等型だ!!」


そこまで聞いて私は走り出した。
強度の高いガラスの剣を作り出して、思い切り敵の腕に刺し込む。

ぐぐ、と刺して剣から手を離し、くるりと回って背後に周る。

そしてもう一本作り出して上から刺そうと構え…


「今はこいつと遊んでんだよ!邪魔すんな!!」


足を掴まれ、ぶんと投げられた。
あ、と私は小さく呟いた。
私の身体は崖の向こう側へ。


「…っっ!」


「みょうじさんっっ!!」
「緑谷くん、私は大丈夫!応援を呼んで帰ってくる!!!」


それまで持ち堪えて、と叫ぶが私の身体は森の中へ真っ逆さまに落ちていく。


風を切るような嫌な浮遊感に身を委ねながら、私はどんどんパニックに陥っていく。



くそ、どうする。



このままじゃ地面に打ち付けられて死ぬぞ…っ!



…ガラスを作り出せ。
幸い下は木が多い茂っている。

合宿で作ったようなでかく太いガラスの板を作って木と木の間にハンモックのように着地させろ!!


自分の下にすぐさまガラスを作り上げる。


そして木に落ちていく。


がさがさがさ、ぱきぱき、と木とガラスの音。
ヒビの入ったガラスが私のお尻の下に有る。割れなくてよかった。


とん、とん、と木から降りてすぐに走り出す。
緑谷くんを助けにいかなければ。
まずは施設を目指す…!



58 賭せ!ヒーロー
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