「ご機嫌よろしゅう!雄英高校!!我等敵連合、開闢行動隊!!」


何が面白いのか笑いながら自己紹介をする敵。
私たち生徒も動けずにいる。
何故ならピクシーボブの頭が敵の持ってる布に巻かれた長い物の下敷きになってるからだ。


「この子の頭潰しちゃおうかしら?ねぇどう思う?」


どう思うって馬鹿なのかこの人は。
良いわけないだろ。

させぬわ!と虎が前に出る。
それを見た敵はまあ落ち着けよと笑う。


「生殺与奪は全てステインの仰る主張に沿うか否か!」
「ステイン…あてられた連中か…!!」


ステイン。
その名を聞いた飯田くんの顔つきが変わる。
私も眉を顰める。

敵は自信を彼の夢を繋ぐものだとか何とか言った。
全くふざけている。良い加減にして欲しいくらいだ。


「何でも良いがなあ貴様ら…!その倒れてる女…ピクシーボブは最近婚期を気にし始めててなぁ。女の幸せ掴もうっていい歳して頑張ってたんだよ。そんな女の顔キズモノにして…男がヘラヘラ笑ってんじゃないよ」


虎からズンとするほどの殺気を感じて鳥肌が立った。


「ヒーローが人並みの幸せを夢見るか!」


ぐわっと武器をたくさん出して敵が走りかかってくる。
私も思わず身構える。


「虎!指示は出した!生徒の安否はラグドールに任せよう!私らは二人でここを抑える!!皆行って!良い!?戦闘はしないこと!委員長引率!!」
「承知いたしました!行こう!!」


飯田くんの指示に従って歩き出そうとした時だった。


「…飯田くん、先行ってて」
「緑谷くん!?何を言ってる!」
「そうだよ、どうしたの!?」


慌てて緑谷くんの腕を掴む。
緑谷くんは動かなかった。


「マンダレイ!!僕、知ってます!!」







「ごめん、みょうじさんまで…!」
「一人じゃ何かあった時危険だから!」


飯田くんを言いくるめる為に緑谷くんについて来た。
緑谷くんはマンダレイが気にしている洸汰くんのいる場所を知っているのだそうだ。
洸汰くん一人で敵に出会したりしたら危険だしね。


「…緑谷くんッ!!」


私の声にハッとして、緑谷くんが駆け出した。
洸汰くんの目の前に、図体のでかい男が立っていた。
そして洸汰くんに向かって振りかぶった。


凄い速度で緑谷くんは何とか洸汰くんを抱きかかえて攻撃を回避し、その反動のまま転がって行く。


「緑谷くん!大丈夫!?」


二人に走って近寄り、前に出る。


「んん…?リストにあった奴らだな」


リスト…?
それよりまさかピンポイントでこんな所に敵が現れるなんて…。

緑谷くんと二人でこの敵を倒す?
洸汰くんを守りながら…出来るのか、そんなことが…。


緑谷くんと同じタイミングで振り向いた。
洸汰くんの怯えた顔が見えて。


…やるしかないんだ!
今洸汰くんを守れるのは私と緑谷くんだけだ。


「大丈夫だよ、洸汰くん…必ず助けるから…!」


二人顔を見合わせて頷いた。



57 狼煙
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