そして合宿二日、5時30分…。


「おはよう、諸君」


皆眠たそうにぼーっと、していたり、あくびしていたり。
お茶子ちゃんの寝癖が気になるので何となく撫で撫でするが直らないので諦めた。


「本日から本格的に強化合宿を始める。今合宿の目的は全員の強化及びそれによる"仮免"の取得」

先生がぽいと爆豪くんに何かを渡す。

「こいつを投げてみろ」
「これ…体力のテストの…」

パシッと受け取った爆豪くんの手には見覚えのあるボール。
最早何か懐かしいなあ。


「前回の…入学直後の記録は705.2メートル…どんだけ伸びてるかな」
「おお!成長具合か!」
「この三か月、色々濃かったからな!1キロとかいくんじゃねえの!?」
「いったれバクゴー!」

周りの声に調子を良くした爆豪くんが、ブンブンと、肩を慣らして…


「んじゃよっこら…くたばれ!!」


爆風と共にボールがすごい勢い飛んでいく。
…っていうか…くたばれ…?


ピピと端末が音を鳴らす。

「709.6メートル」


…あれ?
思ったほど上がっていない。


「約三ヶ月間様々な経験を経て君らは確かに成長している。だがそれはあくまでも精神面や技術面。あとは多少の体力的な成長がメインで"個性"そのものは今見た通りでそこまで成長していない。だから…」


ぞわ、と鳥肌が立つのを感じた。
何故だかわからないけど…また嫌な予感がする!


「今日から君らの個性を伸ばす。死ぬ程キツイがくれぐれも…死なないように」







「もう、もう無理です、これ以上…大きいのは作れません!!」


みょうじなまえ。
ガラスの強度と作り出せる大きさ向上の特訓!


「まだ行けるわね。もっと集中して作り続けなさい!強度下がってるわよ!」
「ひぃえええ」


ずっと作り続けてるのだ。
もうガラスの大きさはビル一棟分くらいになっている。


「こんな大きいの作ったことありません!!無理です!!!」
「今作ってるじゃない。出来る!あとそこ強度脆くなってる!ちゃんとしたの作りなさい」



いや、死ぬ。
死ぬよこれは。
作り続けてるおかげで体力がなくなって下半身がぶるぶるしている。







「さぁ、昨日言ったね、世話焼くのは今日だけって!!」
「己の食う飯くらい己でつくれ!!カレー!!」


ぐったりした様子のクラスメイト達が、カレーの食材目の前にして項垂れる。


「アハハハ!全員全身ブッチブチ!だからって雑なネコマンマは作っちゃダメね!」
「確かに…災害時など避難先で消耗した人々の腹と心を満たすのも救助の一環…さすが雄英無駄がない!世界一美味いカレーを作ろう!皆!!」


飯田くんがハッとしてみんなを鼓舞する。
ヘロヘロになりながらもみんながオー!とカレーを作り始める。


「轟くん、こっちに火いいかな?」
「ああ」


優しい手つきで轟くんがかまどに火を付けてくれる。


「ふふ」
「?…なんだ?」
「轟くんの炎、あったかいねえ」


轟くんが目を大きく見開く。


「そりゃ…火だから…」
「違うよ、轟くんの火だから、あったかくて優しいんだよ」
「!…変な奴だな、みょうじは」
「そうかなあ?」


自分の火を見つめる轟くんの表情が、優しいものになった。
それを見て私は少し嬉しくて笑いかけた。



55 合宿二日目
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