ショッピングモールで緑谷くんがUSJでの主犯格・死柄木と接触した事件により、例年使っている合宿先をキャンセル、行き先は当日まで明かされないらしい。
そして、あまりに濃密だった前期は幕を閉じ…。
夏休み…林間合宿当日!!
バスの中はわいわいがやがや騒がしかった。
しりとりしたりお菓子交換をしたり。
騒がしい席を注意する飯田くんの声がまたうるさかったり…。
そして1時間が経ち休憩としてみんながバスから降ろされた。
私はずっと座りっぱなしだった為硬くなった身体をぐいーと伸ばす。
「つか何ここ…パーキングじゃなくね?」
誰かの声で気がつく。
周りは山々が見渡せる少し小高い広場。
中途半端なところで降ろされたものだ。
「何の目的もなくでは意味が薄いからな」
「よーーうイレイザー!」
「ご無沙汰してます」
ざっ、と先生の後ろから誰かが現れる。
というか目的?意味?そしてここはどこ??
「煌めく眼でロックオン!」
「キュートにキャットにスティンガー!」
「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!」
いきなり現れた猫耳つけた二人のヒーロー。
プッシーキャッツだ!!
「今回お世話になるプロヒーロープッシーキャッツの皆さんだ」
相澤先生の説明の前に緑谷くんがわっと歓声をあげる。
「山岳救助等を得意とするベテランチームだよ!キャリアは今年でもう12年にもなる…」
「心は18!!!」
緑谷くんがガシッと顔面を掴まれる。
女性にベテランだのキャリア12年だの言っちゃダメ、絶対…。
「ここら一帯は私らの所有地なんだけどね、あんたらなら宿泊施設はあの山の麓ね」
「「「遠っ!!」」」
周りがどんどんざわついていく。
「え…?じゃあ何でこんな半端なところに…」
「お茶子ちゃん…私嫌な予感するなあ…」
「いやいや…」
「バス…戻ろうか……な?早く…」
皆気付き始める。違和感に。
「今は9時半…早ければ12時前後かしらん」
!!
「ダメだ…おい…戻ろう!!バスに戻れ!早く!!」
切島くんの声で何人かがバスに向かって走っていく。
ダメだ、もう間に合わないよ切島くん…。
「12時半までに辿り着けなかったキティはお昼抜きね」
「わるいね諸君」
足元が急にぐらぐらと揺れる。
地面が動いてるんだ!!
確か…"個性"土流か!!
土がボコボコと蠢いて、私たちはそのまま下の森へ投げ出される。
「「「うわあああああ!!」」」
みんなの叫び声と共に、相澤先生が「合宿はもう始まっている」と言う。
せめて…心の準備を下さい!!
「私有地につき個性の使用は自由だよ!今から3時間!自分の足で施設までおいでませ!この…"魔獣の森"を抜けて!!」
何そのドラクエみたいな名称は。
口に入ってしまった土をぺっぺっと吐き出しながらよろよろと立ち上がる。
「雄英こういうの多すぎだろ…」
「ほんとにね…ゲーム好きだよね絶対」
「文句言ってもしゃあねえよ行くっきゃねえ」
皆で森を見上げる。
ずしん、と振動がして森の奥から何かが現れる。
「なに…あれ…」
「マジュウだーー!!?」
ひええ、見た目怖っ!?
口田くんがすかさず前に立って、魔獣を従えようと試みるも魔獣は止まらない。
…ん?よく見ると…土か…!!
そうとわかった瞬間私の身体は動き出していた。
ガラスのハンマーをぶんと振るう。
すると一斉に飛び出していた緑谷くん、飯田くん、轟くん、爆豪くんと攻撃が重なり土の魔獣は倒れた。
さあ、合宿の始まりだ!!!
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53 林間合宿!