体育祭での疲れも癒え、轟家で1日を過ごした次の日…。

毎朝のように電車を乗り継ぎ少し人の多い電車に40分ほど乗る。


「お姉さん、ヒーロー科のみょうじさんだよね!?」
「3位の!凄かったよー!」
「格好良かったぞ!準決勝惜しかったなー」
「生で見ると更に可愛いねえ」


お兄さんやお姉さん、おじさんおばさんたちが一気に声をかけてくる。

「えっ!は、はい!」

わたわたしながら周りからのキラキラした眼差しを受ける。
こんなことは初めてなので面食らう。


「「「頑張れよ、ヒーロー!」」」


「あ、ありがとうございます!」


朝からちょっと疲れたな…
でもプロヒーローになったらもっと注目浴びるんだ!今からこんなんじゃ良くないよね!

駅から学校へ向かう途中も色んな人から声をかけられたり、じろじろ見られたりする。すごい注目だ。



教室に入ると、周りのみんなも朝から声をかけられたようで興奮半分でワイワイとしていた。


「たった1日で一気に注目の的になっちまったよやっぱ雄英すげえな…」


ガヤガヤとみんなで笑い合う。
俺はドンマイコールされたとかジロジロ見られたとかみんなもそれなりの洗礼を受けたようだった。


「おはよう」


相澤先生が教室に入ってきて、最早しつけられたかのようにみんなぴたりと話をやめ一瞬で自分の席に戻る。
毎度ながらこれがなんとなく面白い。


包帯の取れた相澤先生に、梅雨ちゃんが良かったわと言うと婆さんの処置が大袈裟なんだと少しくすぐったそうに言う相澤先生。


「んなもんより今日のヒーロー情報学ちょっと特別だぞ」


特別、と聞いて何があるんだ?小テストか何かか?と教室中がざわっとする。


「"コードネーム"ヒーロー名の考案だ」


周りから若干のほっ…の後にわあっと歓声。



「「「胸膨らむヤツきたああああああ!!」」」



騒ぐ生徒たちに個性を使い黙らせる相澤先生。
一瞬にしてシンとする。


「というのも先日話したプロからのドラフト指名に関係してくる。誌名が本格化するのは即戦力として判断される2、3年から…つまり今回来た指名は将来性に対する興味に近い」


そういえば体育祭が終わった日にドラフト指名がどうとか言ってたっけ。
疲れててほとんど聞いてなかった。


「卒業までにその興味が削がれたら一方的にキャンセルなんてことはよくある」


目の前の席の峰田くんが大人は勝手だ!と震えながら机を叩く。
それが社会の厳しさってやつなんだね…。


「頂いた指名がそのまんまハードルになるんですね!」
「そ、でその指名の集計結果がこうだ」


先生が黒板に集計結果を張り出す。
轟くんが4123、爆豪くんが3556。
次いで私に761。

3位らしいが前2人と大分差があるなあ。


「さすがですわ轟さん」
「本当!すごい数だよ!?」
「ほとんど親の話題ありきだろ…」


轟くんはあまり嬉しそうじゃない。
確かにエンデヴァーの息子だから期待値は元々高いと思うけど…。


「私は轟くんの実力だと思ってるよ!」
「… みょうじがそう言うなら半分くらいはそうなのかもな。…それよりお前にも結構来てるぞ」
「うん!嬉しい!!!」


轟くんがふと微笑む。
どくんと心臓が飛び跳ねた。
…最近多いなこれ、私の身体どこかおかしいのかな?


「これを踏まえ…指名の有無関係なくいわゆる職場体験ってのに行ってもらう。お前らは一足先に経験してしまったがプロの活動を実際に体験してより実りのある訓練をしようってこった」


それでヒーロー名か!俄然楽しみになってきた!とみんなのテンションも上がって行く。


「まぁ仮ではあるが…適当なもんは…「付けたら地獄を見ちゃうよ!!」」


相澤先生の声を遮って、ドアからミッドナイトがカツカツとヒールの音をさせながらモデルのような歩き方でやって来る。セクシーだなあほんと。


「この時の名が!世に認知されそのままプロ名になってる人多いからね」
「まぁそういうことだその辺のセンスをミッドナイトさんに査定してもらうそれはそういうのできん」


将来自分がどうなるのか名を付けることでイメージが固まりそこに近付いていく。名は体を表すっていうことらしい。

名前…名前かあ…。
私に相応しいのってなんだろう、昔から少し考えてたけど改めて真面目に付けるとなるとよく考えないとな。


「じゃそろそろ出来た人から発表してね!」


発表形式…!?
最初に立ち上がったのは青山くんだった。
輝きヒーロー"I can not stop twinkling"(キラキラが止められないよ)
というまさかの短文。
ミッドナイト先生に軽く添削されOKをもらっていた。いいんだそれで。

次は三奈ちゃん。エイリアンクイーンと発表して却下された。
2人のせいというかおかげというべきか、何だか大喜利のような雰囲気になってしまってみんな発表しづらくなってしまった。


「次、私いいかしら」


梅雨ちゃんが手をあげて壇上に立つ。
みんなもソワソワとそれを見つめた。


「小学生の頃から決めてたの。梅雨入りヒーローフロッピー」


みんなからホッという声が聞こえる。
そして巻き起こるフロッピーコール。

そこからはみんなスムーズに発表が進んで行った。



39 名前をつけてみようの会
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