昼休憩終了。


《最終種目発表前に予選落ちの皆へ朗報だ!あくまで体育祭!全員参加のレクリエーション種目も用意してんのさ!本場アメリカからもチアリーダーも呼んで一層盛り上げ……》


何でこんな格好、してるんだろう??


《どーしたA組!!?》


「峰田さん上鳴さん!!騙しましたわね!?」


百ちゃんが叫ぶ。


お昼ご飯を食べ終えた私は、百ちゃんと響香ちゃんに"女の子はチアの格好をして応援合戦しなきゃいけない"と言うのを聞いて急いで着替えて皆で会場にやって来たのだった。


「何故こうも、峰田さんの策略にハマってしまうの私…」
「アホだろアイツら!」


百ちゃんはしゃがみこんで落ち込み、響香ちゃんがポンポンを投げる。


「まぁ本番まで時間空くし張り詰めててもシンドイしさ…いいんじゃない!?やったろ!!」
「やったろやったろー!!」


しゃかしゃかポンポンを振る透ちゃんに合わせて私もポンポンを振って踊る。


「透ちゃん、なまえちゃん好きね」


少し恥ずかしそうにしてる梅雨ちゃん可愛い。
皆似合ってて可愛い最高!!

私もちょっと恥ずかしいけどこうなればヤケだ!



《さぁさぁ皆楽しく競えよレクリエーション!それが終われば最終種目!選出チーム総勢16名からなるトーナメント形式!!一対一のガチバトルだ!!》



「トーナメントか…!毎年テレビで見てた舞台に立つんだあ…!」
「去年トーナメントだっけ」
「形式は違ったりするけど例年サシで競ってるよ」

切島くん、嬉しそうだなあ。
ていうか皆嬉しいか。テレビで見てた場所に今立ってるんだもんね…!


『それじゃあ組み合わせ決めのくじ引きしちゃうわよ。組が決まったらレクリエーションを挟んで開始になります!』


16名はレクリエーションの参加は自由だそうだ。


『んじゃ1位チームから順番に…』


ミッドナイトがくじの入った箱を持ってくる。
と、同時に前の方に立っていた尾白くんがスッと手を上げた。


「俺、辞退します」


周りがざわつく。
「何で、尾白くん!せっかくプロに見てもらえる場なのに!」と透ちゃんが心配そうに声をかける。


「騎馬戦の記憶…終盤までほぼボンヤリとしかないんだ。多分奴の個性で…」
「!」


私が慌てて尾白くんの元へ行く。


「チャンスの場だってのはわかってる。それをフイにするなんて愚かなことだってのも…!でもさ!皆が力を出し合い争ってきた座なんだこんな…こんなわけわかんないままそこに並ぶなんて…俺は出来ない」
「尾白くん…」


何て声をかけていいか分からず、ただ見上げる。
私の顔を見た尾白くんが優しく微笑んでくれた。


「… みょうじさんは悪くないよ。」


透ちゃんや三奈ちゃんも、気にしすぎだよ!とか私も全然だよ!?と声をかけるが首を横に振り続ける。


「俺のプライドの話さ…俺が、嫌なんだ」
「そっか…」
「あと何で君らチアの格好してるんだ…!」

女子全員が気まずそうに視線を逸らした。



『そういう青臭い話はさァ…好み!!』



ミッドナイトがピシャンと鞭らしきものを振るう。


『尾白の棄権を認めます!繰り上がりは5位の拳藤チームだけど…』


話を振られたB組の拳藤さんは、自分のチームメイトと話し合う。


「ほぼ動けなかった私らより最後まで頑張って上位キープしてた鉄晢チームじゃね?馴れ合いとかじゃなくてさ、フツーに」
「お…おめぇらぁ!!!」

最後の最後でハチマキ奪っちゃっただけに肩身が狭い会話だ。
何となく身体を縮こめて話を聞く。


『というわけで鉄晢チームから鉄晢が繰り上がって16名!!』

くじを引いて、対戦相手が決まる。


『組はこうなりました!』


私の相手は…
げ、上鳴くんかあ…。
どう戦えばいいかなあ。
無差別に放電されたら勝ち目ないな…。







「あ、緑谷くん居た!…尾白くんも!」
「みょうじさん!どうしたの?」


控え室に、二人がいた。


「緑谷くんの相手、心操くんだったから…アドバイスしとこうと思って」
「そ、そうだったんだ!ありがとうみょうじさん…!」


二人の向かいの席に座る。


「みょうじさんは洗脳かけられなかったんだよね?」
「うん、言うこと聞くから個性使わないでねって言ったらかけられなかった」
「そっか…」


緑谷くんは何かブツブツ言っていた。


「彼が個性を使う所、一回しか見てないけど…声をかけて、相手がそれに反応したら洗脳にかかったように見えたよ」
「俺が洗脳にかけられた時も概ねそんな感じ。でも多分初見殺しさ。そういうギミックなんだと思う」
「操る個性か…強すぎない?うっかり答えたら即負けだね…」
「いやでも万能ってわけでもなさそう」


そうだ、尾白くんの洗脳は途中で解けた。


「最後の方でみょうじさんが転びそうになって足が俺にぶつかって…したら覚めた。そっからの記憶はハッキリしてる」


うんうん、と頷く。


「衝撃によって解ける…?」
「の可能性が高い」
「…と言っても、たまたま時間制限とかがあってそれが近付いてたからとかどのくらいの衝撃で解けるのかっていうのは、私もわからないんだけど…」


でも!と私がぐっと親指立てる。


「知ってれば怖いものじゃない。反応しなければいいんだもん!」
「そうだよね、ありがとう尾白くんみょうじさん!」



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