《さぁ上げてけ閧の声!!血で血を洗う雄英の合戦が今!!狼煙を上げる!!》


心操くんが上、私や尾白くん、青山くんは騎馬だ。


「心操くん!1位から3位の人たちの騎馬は狙うのを止めておこう?あの人たちはきっと潰し合う!もし狙うなら最後の最後だと私は思うの!」
「意外。1位狙うんだと思ってた」


爆豪くんや轟くんのチームにいたならそう考える。
でも今は青山くんと尾白くんを彼に気付かせないようにどうにか起こせないかと考えていた。


『3!!』

考えろ…

『2!!』

どうしたら彼らの洗脳を解いて、さらに勝てる!?


『1…!!スタート!!!』


始まってしまった。
一瞬思考が停止する。

周りの騎馬たちが緑谷くんチームに向かって走って行くのが見える。


私たちの騎馬は、じりじりと他の騎馬を警戒する。


「みょうじさんさ、俺の個性怖くないの?」
「え?どうして?」
「"洗脳"なんて敵向き、なんてよく言われるしさ」

騎馬の上に乗っている彼の表情は見えない。
けど、少し寂しそうに聞こえた。

「確かに敵だったら怖いけど、心操くんヒーロー目指してるんだよね?全然怖くないよ。むしろ味方にいたらこんな心強い個性ないと思うよ!」

ふーん、と心操くんは呟いて何も言わなくなった。

と、目の前から金髪の男の子の騎馬が明らかにこちらを標的にやって来る。


「心操くん!」


気付いた彼が身構える。
金髪くんが心操くんに触れようとしたので、目の前にガラスを作り出し回避する。

「見てたよ、君…A組の4位の子だよね?ふぅん、個性ガラスねえ…」
「そ、そうだけどそれがなに…」

ぶん、と金髪くんの手が私の頭をかすめた。
鉢巻きをしているわけでもないのになぜ私に!?と驚く。

「わ、な、なに!?セクハラ!?」
「そんなことするわけないだろう」

呆れたように笑われた。そりゃそうか。


「こういう風に、使うんだよ!」


目の前に巨大なガラス板が出現し、こちらに倒れて来る。
もちろん私が作り出したものじゃない。


「えっ、な!?」


とっさにそれより大きなガラスを作ってこちらに倒れて来るガラス板を押し返し回避する。


「この人の個性…コピーだな」
「コピー!?」
「そ、ガラスの個性もいいけど…僕の個性の方が何倍もいいよね」


カチンときた。


「それはどうかな?使い方わからないでしょ?こう使うんだよ」


騎馬戦は足元が悪い。
下を見ることなんて出来ないだろう。


「…っ!?」


目の前の騎馬がズル、と崩れる。


私はニヤリと笑った。


彼らの足元に、大量の"ビー玉"を作り出したのだ。



「ついでにハチマキもらって…」
「円場!防壁!!」


騎馬丸ごと、丸い空間か何かに閉じ込められた。


「なにこれ!」
「とりあえずここは立て直すぞ!」


金髪くんが逃げて行く。


「ごめん、心操くん!せっかくのハチマキチャンスが…」
「とりあえずこれどうにかしてくれるかな」
「あっはい」


ガラスのハンマーを作り出してぶん殴ると簡単にパリンと割れた。

時間を無駄にしてしまった。


と、自分の個性のビー玉に足を取られてつい転びそうになった。
なんとか踏ん張ったが、私の足が尾白くんに当たる。


「!?」


急に尾白くんの反応が戻った。


(もしかして…ぶつかったことで洗脳が解けた?)


尾白くんと目が合う。
しーっと小さい声で言う。

尾白くんはすぐに理解してくれたらしく本当に僅かに頷いた。

同じように青山くんにも衝撃を与えれば…。


とすぐに他の騎馬がやって来てしまう。


「みょうじさん。今は守りに徹しよう。最後の最後…他のチームの気が緩んだところで俺の"個性"を使う」
「…!わかった」



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