《A組緑谷爆風で猛追ーーーっつうか抜いたあああー!!!》
目の前の二人が抜かれる。
まずい、これでは4位だ!!
後ろに道を作らないように避けていたが、地面をガラスに変えて急いで走り出す。
ああもう、二人を出し抜く作戦がパーだ!!
「デク!!俺の前を行くんじゃねえ!!」
「チッ…後ろ気にしてる場合じゃねえ…!」
二人が足の引っ張り合いを止め、緑谷くんを追いかける。
二人が緑谷くんを追い越そうとした時、緑谷くんが持っていた破片か何かを地面に思い切り振り下ろす。
地面に埋まっていた地雷が反応し、小爆発をする。
「!!」
《緑谷間髪入れず後続妨害!!なんと地雷原クリア!!イレイザーヘッドお前のクラスすげえな!!どういう教育してんだ!》
《俺は何もしてねえ奴らが勝手に火ィ付け合ってんだろう》
ああ、もうこのままでは3人に追いつけない。
とにかく闇雲に走る。
《さぁさぁ序盤の展開から誰が予想できた!?今一番にスタジアムへ帰ってきたその男…緑谷出久の存在を!!!》
わあ、と少し先で会場が揺れるほどの歓声。
「くっそー…!!」
少し遅れて、ゴールに到着。
緑谷くん、轟くん、爆豪くんに次いで…4位。
「はあっ…はあ、ふぅー…。緑谷くん!おめでとう!悔しい…!」
「みょうじさん…!いやあ、あの…!ありがとう…!」
息を整えながら緑谷くんを祝う。
緑谷くんはわたわたと申し訳なさそうにする。
運が良かっただけとか思ってそうだなあ。何となく。
『予選通過は42名!!いよいよ次からは本戦よ!!さーて第二種目よ!』
ドゥルル、と様々な種目が宙に映し出され回転していく。
『コレよ!!!』
騎馬戦…!
「騎馬戦…」
「個人競技じゃないけどどうやるのかしら?」
梅雨ちゃんと目を合わせて首を傾げる。
『参加者は2〜4人のチームを自由に組んで騎馬を作ってもらうわ!基本は普通の騎馬戦と同じルールだけど一つ違うのが…先程の結果に従い各自にポイントがふりあてられること!』
「入試みたいなポイント稼ぎ方式か…」「つまり組み合わせによって騎馬のポイントが違ってくると!」と周りがざわつく。
『あんたら私が喋ってんのにすぐ言うね!!ええそうよ!そして与えられるポイントは下から5ポイントずつ!42位が5ポイント41位が10ポイント…と言った具合よ!』
ということは、4位の私は…195ポイントか!
『そして1位に与えられるポイントは1000万!!!』
…えっ?いっせん、まん??
驚いて緑谷くんを見る。
『上位の奴ほど狙われちゃう下克上サバイバルよ!!!』
▽
15分間のチーム決め交渉の時間。
誰と組もうか、誰と組んだら有利なのか考える。
爆豪くんと組んだら有利そうだけど私を入れてくれるとは思わない。
轟くんも同様。
とすると、一回組んだことがある…。
「尾白くん!良かったら私と…ってあれ?もう決めてる?」
「ん?…あんたA組の…」
あ、敵情視察で足元掬っちゃうぞ発言の人!
「尾白くんと、青山くんと組んだの?」
「…ああ」
彼の後ろから二人の様子を見る。
二人の視線は虚ろで怪しい。
何らかの個性にかけられているというのを一瞬で理解する。
「君の個性かな?まあいっか、とりあえず私も入れて!」
「え?あんた頭おかしいの?クラスメイト洗脳されてるんだよ」
「なるほどね、洗脳っていう個性なんだ…すごい!めっちゃ強い個性じゃん!」
洗脳なんて個性あるんだなあ、聞いたことなかった!
「クラスメイトが洗脳されてるのにチームに入れてって…おかしな人だな」
「だからだよ!捨て駒感覚で扱ってるなら許せないから見張っておきたいんだ。それと、君のいう通りに動くから個性使わないでくれるとありがたいんだけど」
「ふーん…面白い。わかったよよろしく。俺は心操」
「みょうじです。よろしくね、心操くん!」
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23 立て追われる身