『スターーート!!』

合図と同時に走り出す。
入り口で人がつっかえていて中々進まない。


「…っ!」


嫌な予感がして、ジャンプする。
下を見ると地面がキンと凍っていた。


「あっぶな…」


個性でガラスの棒を作り出し、入り口まで伸ばして出る。
百ちゃんも鉄の棒を作り出して出てきた。
他にも爆豪くんは爆破で飛んでるし、レーザーを出せる青山くんなんかは少し有利に思えた。

周りを見るとやはりA組連中は轟くんの氷結に誰も巻き込まれていないようで安心した。


私はにんまり笑って彼の後を追いかける。



負けない。負けたくない!



走っていると、ズンと振動を感じて思わず前のめりになる。
見上げると…入試の時の仮想敵が聳え立っていた。


《さぁいきなり障害物だ!!まずは手始め…第一関門ロボ・インフェルノ!!》


舐められては困る。
入試の時は倒して力尽きたが、あれから私はたくさんの特訓とトレーニングを積み重ねてきた。


倒せないわけがない!!


「せっかくならもっとすげえの用意してもらいてえもんだな…クソ親父が見てんだから」


轟くんの静かな声が聞こえて、巨大仮想敵が一体、全身凍らされる。明らかなオーバーキル。


「私も負けないよ!」


入試と同じように地面に手をつけ…


鋭利な巨大ガラスを!!


ズン、と仮想敵を貫いて、その横を軽々と通過する。


「あいつらが止めたぞ!あの隙間だ!通れる!」


普通科らしき生徒が私と轟くんの倒した仮想敵の間を通ろうとする。


「やめとけ、不安定な体勢ん時に凍らしたから…倒れるぞ」
「私のとこも上から破片落ちてくるから気をつけてー!」


後ろで仮想敵の倒れる豪快な音。
爆風を感じながら走る。


《1-A轟・みょうじ!!攻略と妨害を一度に!!こいつぁシヴィー!!!》


「… みょうじやっぱ来たか」
「負けない、って言ったからね」


轟くんの方が足が早い。
少し置いていかれそうになるのを必死で追いかける。


《すげぇな2トップ!!アレだなもうなんか…ズリィな!!》


後ろから爆豪くんが猛追してきてる。
いいなあその個性は!!

こちとら必死で走ってんのにさ!


《オイオイ第一関門チョロイってよ!んじゃ第二はどうさ!?落ちればアウト!それが嫌なら這いずりな!!》


第二関門まで来て、一瞬立ち止まる。


《ザ・フォーーール!!!》


「うわ、下見えない…」


轟くんが難なく氷で足元を滑らせ渡りきる。
何その使い方!参考にしてみよ!!


《さあ先頭は、難なくイチ抜けしてんぞ!!》


つつ、と綱と足元にガラスを発生させ滑るように渡る。
行けた!行けたけど、心臓バクバク言ってる!!落ちてたらどうなったのコレ!!先生たち助けてくれてたのかな!?

無駄なことを考えている間に轟くんに遅れを取る。
今はとにかく何も考えず走れ!!!


「邪魔だァ、ガラス女ぁ!!!」


調子を上げて来た爆豪くんが爆破しながら飛んでくる。
くっそー、抜かれた!!!


「待ってよ爆豪くん!!」
「ハッ!待ってと言われて待つやつがいるか!?」
「そりゃそーだけど!」


必死に二人の背中を追いかける。
これ以上抜かれるとまずい。

そして次のエリアに到着する。


《そして早くも最終関門!!かくしてその実態は…一面地雷原!!!怒りのアフガンだ!!》


こ、これは…
私不利なのでは!?


地面をよく見れば埋まってるか埋まっていないかは分かるが、前と後ろを気にしながら走っていると踏みそうになってしまう。


「俺には…関係ねーー!!」


爆豪くんの爆破で、轟くんを追い抜く。


「てめェ宣戦布告する相手を間違えてんじゃねえよ」


少し前の爆豪と轟くんが睨み合う。


《ここで先頭が変わったーー!!喜べマスメディア!!お前ら好みの展開だああ!!》


二人が個性で相手を半ば攻撃しながら足を引っ張り合い一位を譲らない。
その後ろをひっそりついていく私。


(もう少ししたら、二人が足を引っ張りあっている隙に先に出る…!!)


二人の背中を睨む、その瞬間…


後方から大爆発が起こり、思わず振り返る。



爆風と共に宙に…緑谷くん!!!?



《後方で大爆発!?何だあの威力!?偶然か故意か…A組緑谷爆風で猛追ーーーー!!?》



22 みんな個性的でいいね
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