体育祭に向けていつも以上の特訓にトレーニング。
二週間なんてあっという間に過ぎて行き…


本番当日！！


ジャージに着替えて、1-Aの控え室に集まる。
いつもと違って浮き足立つ雰囲気。
皆少し緊張してるように見える。


「緑谷」
「轟くん…何？」


轟くんが、緑谷くんに詰め寄る。
いつもと違う雰囲気に、私は首を傾げた。
周りも何となく察したのか二人に注目している。


「客観的に見ても実力は俺の方が上だと思う」
「へ！？うっうん…」
　

緑谷くんが状況をいまいち理解してないようでびくりと体を揺らした。


「お前オールマイトに目ぇかけられてるよな。別にそこ詮索するつもりはねぇが…お前には勝つぞ」


A組トップクラスの轟くんが、緑谷くんに宣戦布告…？
オールマイトに目をかけられてる？
私の中でUSJの時の出来事が頭を過った。


緑谷くんとオールマイトは、やっぱり"何か"ある


「急にケンカ腰でどうした！？直前にやめろって…」
「仲良しごっこじゃねえんだ何だって良いだろ」


仲裁に入った切島くんの手を振り払う轟くん。
いつもと様子が違うように見えた。


「轟くんが何を思って僕に勝つって言ってんのか…は分かんないけど…そりゃ君の方が上だよ…実力なんて大半の人に敵わないと思う…客観的に見ても…」
「緑谷もそーゆーネガティブな事言わねえほうが…」
「そ、そうだよ！緑谷くんだってすごいよ！？」


私も切島くんの加勢に入る。


「でも…！！」


ハッとして緑谷くんを見る。
真っ直ぐな目をしていた。


「皆…他の科の人も本気でトップを狙ってるんだ。僕だって…遅れを取るわけにはいかないんだ。僕も本気で取りに行く！！」


周りの空気が引き締まるのを感じた。


「…おお」



▽



そして始まる、体育祭。
私たちは会場へ向かい、入場する…。


《雄英体育祭！！ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル！！敵の襲撃を受けたにもかかわらず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星！！》


プレゼント・マイクの実況。
観覧席の人の数、他のクラスの視線…！！


《ヒーロー科！！一年！！A組だろぉお！！？》


全ての注目が、私たちに突き刺さる。


「ひゃああめっちゃ見られてるよおおお」
「めっちゃ持ち上げられてんな…！なんか緊張すんな！なぁ爆豪！」
「しねえよただただアガるわ」
「爆豪くんって心臓に毛生えてる？すごいなあ羨ましい！」
「うっせ」

全クラス入場し終わり、並ぶ。
他の科の人たちがうちらってヒーロー科の引き立て役だよねと自虐していて、何だか申し訳ない気持ちになる。


『選手宣誓！！』


主審のミッドナイトがピシャンと鞭のようなものを叩く。


『選手代表！！1-A爆豪勝己！！』


爆豪くん！？
知らなかったー選手代表だったんだ…。

「え〜〜かっちゃんなの！？」
「あいつ一応入試一位通過だったからな」
「大丈夫かなー爆豪くん」

変なこと言いそう。


「せんせー。俺が一位になる」


ほらやると思った！


「調子乗んなよA組オラァ！」「何故品位を貶めるようなことをするんだ！！」「ヘドロヤロー！」


ブーイングがすごい。
そんなのを気にしていないような爆豪くんが振り返る。


「せめて跳ねの良い踏み台になってくれ」


親指を下に向ける。
ヒーロー志望としてそれはいかがなものだろうか。
思わず笑ってしまう私を、周りの人が不審な目で見る。


…でも少し緊張がほぐれた。


『さーてそれじゃあ早速第一種目行きましょう』


宙に種目が投影されてドゥルルという音と共に回転する。


『いわゆる予選よ！さて運命の第一種目！！今年は…』


バン！と回転が止まる。


『コレ！！』



障害物競走…！！

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21 駆け上がれ蹴落として