オールマイトの一撃で、脳無が天井をぶち壊し飛んで行った。


「…コミックかよ…」


ショック吸収を、ないことにしてしまうほどの力。
再生も間に合わないほどの速さだったのだろう。


これがトップ…プロの世界…!!


「さてと敵。お互いに決着つけたいね」
「チートが…!」


敵が取り乱したように全身をガリガリと掻き毟る。


「全っ然弱ってないじゃないか!!あいつ…俺に嘘教えたのか!?」
「クリアとかなんとか言ってたが…出来るものならしてみろよ!!」


オールマイトと敵が睨み合っている。
オールマイトに気圧される。

もう安心しても良さそうだ。


「さすがだ…俺たちの出る幕じゃねぇみたいだな…」
「そうだね、退いた方がいいかも」
「緑谷!行こうぜ!却って人質とかにされたらやべェし…」


動こうとしない緑谷くんに、切島くんが声をかける。
それでも緑谷くんは微動だにしない。


「主犯格はオールマイトが何とかしてくれる!俺たちは他の連中を助けに…」


切島くんが移動しようと提案しても、緑谷くんはまだ動かない。
不審に思って、私が近付く。



「緑谷くん…?どうしたの?」



ブツブツと、小さい声で何か言っている。


「僕だけが知ってるんだ…」
「緑谷、くん?」


その瞬間。
目の前から緑谷くんが消えた。

速すぎて、頭も身体も追いつかなかった。



「緑谷くん!!!?」



何で?どうして!?
彼に届かなかった私の手が、宙を無意味に彷徨う。


「オールマイトから離れろ!!」


緑谷くんが黒いモヤに飛びかかった瞬間。


「ごめんよ皆遅くなったね」


出入り口に、たくさんの人影。



「1-Aクラス委員長飯田天哉!!ただいま戻りました!!!」



たくさんの、雄英教師…もといプロヒーローたちを引き連れて、飯田くんが帰って来た。


「あーあ来ちゃったな…ゲームオーバーだ帰って出直すか黒霧…ぐっ!!」


雄英の先生の、遠距離からの攻撃、そして13号先生が力を振り絞ってブラックホールで黒いモヤを吸い取ろうとする。

しかしモヤがワープするのが早かった。


「今回は失敗だったけど…今度は殺すぞ平和の象徴オールマイト」


そう言い残し、彼らは消えた。


「緑谷くん!大丈夫!?」
「緑谷ぁ!!大丈夫か!?」

私と切島くんが、慌てて緑谷くんに駆け寄る。


ズン、と目の前に急に壁が現れて私は思わず転びそうになる。
セメントス先生の個性だった。


「生徒の安否を確認したいからゲート前に集まってくれ。怪我人の方はこちらで対処するよ」
「そりゃそうだ!ラジャっす!!」


切島くんが走っていく。
でも私は確認してからじゃないと安心できない。


「緑谷くん!怪我したの?平気!?」
「えっと…ごめん、みょうじさん。でも大丈夫だよ!」
「…。そっか…わかった、また後でね、緑谷くん!」


さっきかすかに聞こえた緑谷くんの「僕だけが知ってる」という言葉
そしてあの時のオールマイトの様子と、セメントス先生がわざわざ個性を使ったこと…。

何かが引っかかる。

けど考えても仕方ないや。


「待ってー!」


私は慌てて切島くんたちを追いかけた。







「尾白くん今度は燃えてたんだってね一人で…強かったんだね!」
「皆一人だと思ってたよ、俺…。ヒット&アウェイで凌いでたよ…葉隠さんはどこにいたんだ?」
「土砂のとこ!轟くんクソ強くてびっくりしちゃった」
「ええっ!透ちゃんあそこにいたの!?大丈夫だった?」
「うん、平気!!」

透ちゃんが凍らせられなくてよかった…。



18 各々の胸に
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