いつも通りの時間に登校すると、いつも通りではない光景が校門前にあった。

たくさんの人。
一見して明らかに生徒ではない。


何かと思って見てみると、カメラやマイクを持った人たちがいて報道陣のようだ。
オールマイトの様子を聞きたがっているようだった。


「オールマイトは学校でどのような感じです?普段目にしているオールマイトと変わらずですか?」


その中の一人が私にマイクを向けてきた。
何て答えればいいか分からず、しどろもどろになりながら説明する。

「えっと、オールマイト!!って感じです!それから、意外と可愛らしいところもあって…」
「みょうじ、相手すんな」

喋っている途中で後からやってきた轟くんに腕を引かれて連れて行かれた。

教室に着いたところで、ようやく一息つく。


「轟くん、ありがとう!何か答えなきゃ!って気になっちゃって」
「お前本当そういうとこあるよな」
「そういうとこ??」

私は首を傾げる。
轟くんはそれ以上は何も言わずに席についてしまった。
仕方ないので私も席に着く。







予鈴が鳴り、相澤先生がやって来て教室がしんとする。


「急で悪いが今日は君らに…」


何だ…!?と教室が若干ざわつく。



「学級委員長を決めてもらう」
「「「学校っぽいの来たーーー!!!!」」」



皆からホッ…という声が聞こえた気がした。
それから周りがハイハイハイ!!と手を挙げて、自分がやりたいと主張する。


普通科なら雑務って感じでこんなことにならないと思うけど、ここヒーロー科では集団を導くっていう、トップヒーローの素地を鍛えられる役なのだろう。

しかし私にこの個性的なクラスの委員長が務まるとは思えないのでやる気にはならなかった。


「多を牽引する責任重大な仕事だぞ…!やりたい者がやれるモノではないだろう!!」


飯田くんが声を張る。


「周囲からの信頼あってこそ務まる聖務…!民主主義に則り真のリーダーを皆で決めるというのなら…これは投票で決めるべき議案!!!」

ぐぐぐ、と手をあげながら若干震えた様子で飯田くんは提案する。


「そびえ立ってんじゃねーか!!なぜ発案した!!」


思わず吹き出してしまう。
飯田くん、面白すぎる。


「日も浅いのに信頼もクソもないわ飯田ちゃん」「そんなん皆自分に入れらぁ!」

梅雨ちゃんと切島くんが飯田くんに突っ込みを入れる。


「だからこそここで複数票を獲った者こそが真にふさわしい人間という事にならないか!?」


ということで投票の結果。


緑谷出久 三票
八百万百 二票
その他 一票

という結果になった。
うん、なんとなく分かってた。

ちなみに私は飯田くんに入れた。


「僕三票ーーー!!?」


緑谷くんが驚いてわなわなとしていた。
「なんでデクに…!誰が…!!」と爆豪くんも違う意味でわなわなしていた。

「一票…!誰かが入れてくれたということか…!!しかし惜しくも届かなかった…さすが聖職といったところか…」

そして飯田くんもまた、わなわなしていた。
周りからは他に入れたのね…やりたがってたのに何がしたかったんだ…と呆れられていた。


飯田くんが面白くて私が一人で笑っていると隣の轟くんに見られてしまった。



12 いいぞガンバレ飯田くん
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