緑谷くんはハンソーロボで保健室まで連れて行かれた。
最後の個性使用で腕を負傷したみたいだった。

そして、モニタールームに集まって講評の時間。


「今戦のベストは飯田少年だけどな!!」


オールマイトがハハハと笑いながら言う。
飯田くんは、なな!?と驚いている。

「勝ったお茶子ちゃんか緑谷ちゃんじゃないの?」
と梅雨ちゃんが不思議そうに聞く。


「何故だろうな〜〜?分かるひと!?」


ピッ、と百ちゃんが手をあげる。


「ハイ、オールマイト先生。それは飯田さんが一番状況設定に順応していたから」


爆豪くんの攻撃は私怨丸出しの独断に屋内での大規模攻撃。
緑谷くんも同様の理由。
お茶子ちゃんは中盤の気の緩みと最後の攻撃が乱暴だった事。ハリボテを核として扱っていたらあんな危険な行為は出来ない…と百ちゃんが百点満点の答えを出してくれた。


「ま…まあ飯田少年もまだ固すぎる節はあったりするわけだが…まあ正解だよ…くう…!」


オールマイト先生、思ったよりも言われたんだろうな…なんかちょっと落ち込んでいるのが不謹慎だが可愛く見えてしまう。







「私たちの出番だねー、さてどう対策しようか!?尾白くん、透ちゃん!」
「俺は、俺とみょうじさんで核を守ってその間に葉隠さんが確保テープで確保っていうのがいいかなと思うんだけど」
「それがいいね!」

私たちは三人グループなので、ハンデとして、確保テープが一つだけなのだ。

「尾白くん、なまえちゃん!私ちょっと本気出すわ手袋もブーツも脱ぐわ!」

うおー!と興奮気味に透ちゃんが手袋とブーツを脱ぐ。

「「う、うん…」」

透ちゃん女の子なのにそれでいいの…?
裸なんだよね、今…。

いや、余計なことを考えるのはやめにしよう。


四階の広間に尾白くんと二人で核の前で待機。
透ちゃんは少し遠くで様子を伺っててもらっている。


「…そろそろかな?」


5分経ち、急に部屋の温度が下がった気がした。
相手はそういえば、轟くんだった。


「…っ!」


嫌な予感がして、とっさに個性で両足を厚目のガラスで覆う。


…ピキピキ、と音がして次の瞬間には周りがキンキンに凍っていた。


やっぱりそう来たか、轟くん…!



ドアが開いて、轟くんが現れた。



動こうとする尾白くんを見て、白い息をふぅと吐く。


「動いてもいいけど、足の皮剥がれちゃ満足に戦えねえぞ」


私は個性でガラスのナイフを作り、轟くんに投げつける。
風を切る音がして、轟くんは軽々とそれを避ける。


「なんのつもりだ?」
「いやあ、視線を一瞬別のところに…」


小さいハンマーを作り出して足元のガラスをパリンパリンと割る。
よしよし、動けるようになった。


「誘導できれば良かったんだよね」
「…!俺の氷結の前にガラスで足を覆って…!?」


轟くんの前まで走り出し、その隙にガラスのナイフを掌に作り出し握り直す。
大きく振りかぶると、目の前に彼の個性の氷が現れ攻撃を防がれる。


「うわわ、びっくりした」


ひょいと後ろに下がる。


『痛たたた…っ』


小型無線から透ちゃんの声が聞こえる。
そうだ、彼女は裸足…!
尾白くんも動けなくなってしまっているし…。


「…」


そういえば何も考えずに戦闘を始めてしまったけど、考えれば考えるほど勝てる要素が見当たらない。

カラン、とガラスのナイフを落として両手をあげる。



「降参です」



轟くんの眉がぴくりと動いた。
なんで私が降参したのかすぐに理解したらしい彼が、核に近付いて触れる。


そしてすぐにもう片方の個性を使って氷を溶かしてくれた。



「悪かったな、レベルが違いすぎた」



本当に、その通りだ。
私は悔しくて唇を噛んだ。



10 さて、出番!
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