夢を見た。
正確に言えば本当の夢。ただ一晩中あいつらと酒を浴びるように呑む、それだけの夢だったけれども。きっとあいつらはひねくれ者達だから。口を揃えて「そんなこと微塵も望んでねーよ」などと言うだろうから、俺が代わりに見てやったのだ。泣きたい程甘い夢を。ただ本当に泣きたくなってしまった俺は、明日から前に進むのを躊躇いたくなるような、それだけ。
夢を見た。
あいつらと騒ぎながら酒を飲むなんて馬鹿みたいに青春くさい夢で、ついに頭の外見だけでなく中身までやられてしまったんじゃないかと心配になるくらい。決して自分のことはクルクルパーだなんて思っていないけど!そういえばストレートとクルクルパー、2対2だったな。雨の日はストレート二人に見下され随分嫌な思いをしたもんだ。
ああ、そうか。今日も雨が降っている。
夢を見た。
はっきりとは覚えていないが、アハハと笑いたくなるような愉快な夢。あいつらと酒を呑みながら、確か自分は自分より随分と小さい奴の後頭部にチョップをくらわせていたような気がする。随分息苦しかったけど、確か鼻にピーナッツが詰まっていたような。酔っていたとは言えひどい話だ。もう子供ではなく青年と呼ばれる時期であっただろうに。まったく馬鹿なところだけは治らないものだ。
明日は大事な商談の日だ。早くもう一眠りしなくてはならない。
夢を見た。
大好きなあの人に抱かれて、確か星を見に行った時の景色だ。世界には俺と、あの人しかいなくて。広がる星空と真っ黒な景色にあの人の柔らかな髪の毛と優しい目線だけが俺を射止めた。本当はずっと抱いていてほしかったけれど、言えなくてそっと着物の裾を掴んだことを覚えている。夢の中では随分と周りが静かだった。世界には俺とあの人だけだった。今も世界には俺とあの人だけだ。
きっと今日全世界の誰より幸せな夢を俺はみたのだろう。
いつだって背中を預けあってきたのにこうも俺達は食い違ったままだ。