クラス0はとても魅力的だ。全員と絡んでみてそれが尚、感じたのはいうまでもない。彼らと絡んで戦場にでるための覚悟うんちゃらを聞いた。それにわたしは励まされることとなったのだけど、まだ死に直面する実感というやつが備わっていないような気がする。とくに、わたしみたいな人間はそうなのかも。なんて、まるで候補生じゃないみたいな言葉を並べてもそれは現実逃避の言葉として捉えられるんだろうな。甘い人間でも悔いはない、初の戦線当日である今日。わたしの運命が変わるのだろうか。任務準備の最中に見知った顔を発見した。あ。マキナっぽい。

「マキナだ。」
「…フウコ?」
「こんな時に会うなんてフラグ回収しちゃったみたい。」
「何のことだか全くわからないんだけど。」

だろうね。こっちの話しだもん。てへぺろ。フラグうんぬんについては独り言だ。苦笑いで手を振れば呆れた顔でマキナはわたしに視線を向ける。マキナはたぶん、わたしのことを嫌っている。前に聞いた。うざいんだって、わたし。笑えないけど、わたしには笑える出来事だ。「マキナは今日慣れてるから大丈夫だよね」死ぬわけはないか、クラス0だもんね。それは皮肉に聞こえたのか。更に眉間のシワを深めた。すごいこわい、それ。

「…お前も出るのか?」
「うん。拒否権ないじゃんね。」
「まあ、そうだけど。大丈夫なのか?」

魔法使えなくて。マキナにしてはすごい上から目線だな。以前、マキナをライバルとしてきたわたしにとってはなんとも落ちぶれたように言われてる。不覚だ。とても良い気分じゃないけど図星だから何も言えない。「さすがクラス0のいうことは違うね。」わたしを差し置いて行けたのがマキナとか。魔法の力は偉大だっていうことか。悲しいことだ。

「クラス0かどうかは今関係ないだろ。」
「まぁ、同じ戦線に立つからね。」
「…どうして、そんなにクラス0にお前が行きたかったのか謎だけどな。」
「素敵じゃん。クラス0。みんないい子たちだったよ。」
「そういう見方しか出来ないんだな。相変わらず。」

別に体したことじゃないのに。マキナは続ける。どうしたんだろう、いつもに増してお硬いような気がする。思い切って思っていたことを情緒なく伝える「マキナ機嫌わるいね。ケンカした?」マキナみたいなめんどくさい性格と衝突するやつなんて沢山いるからな。特にわたしとか。マキナは驚いたように目を見開いた。あれ図星なの。

「…お前みたいなのがクラス0に入ったほうがよかったかもな。」
「え。なにそれ、うける。」

らしくないこと言うなよ。まじで面白いことを言う。思わず吹き出せば、マキナは本気で言ってたのか。「生死に執着ないところ、クラス0っぽい。」そんなこと言われても。失礼しちゃうな。わたしも一応人間だ。生死に執着しないわけがないと思うのに。それこそ、クラス0に対して失礼でしょう。

「クラス0のみんなもそんなに冷酷な人たちじゃないとおもうよ」
「お前になにがわかる?」
「そのまま、それ返す。」

マキナになにがわかるんだろう。本当にめんどくさい性格してるな。衝突するのも当たり前だとおもうよ。皮肉を込めてそう言ってやった。「死ぬの怖い人間なんていないとおもうけど」特にこの世界にいたらさ。忘れられるなんて何の為に生まれて来たのか分かったもんじゃない。

「悪い。八つ当たりした。」
「別にいいけど。喧嘩はよくないよ。」
「…ああ。肝に命じておく。」

そう言ってマキナは微笑んだ。なんだこいつ。本当によくわからない人間だ。はやく仲直りしてこいよ、墓までケンカしたまんま持ち込むなんて不届き者がすることだ。はやく大人になったほうがいい。わたしが言えた立場じゃないけど、クラス0に選ばれたんならそれくらい弁えろよ。まったく、世話のかかるやつ。



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