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「おーい新入生かー?」

「はーいそうでーす」

遠くから自転車に乗って手を振る影が見える。良かった、もしかして迎えかな。

「よく来たな!えーっと……」

「あ、堰です。よろしくお願いします」

第一印象は大事。挨拶はしっかりしておかないと。頭を下げると、側に止まった自転車から「おうよろしく!」と快活な声が返ってくる。

「俺は今年3年の、乗堂(じょうどう)だ。その地図は分かりにくいだろ?迎えに来た」

にかっと笑う乗堂先輩の歯が眩しい。見るからに爽やかな体育会系の人だ。短い黒髪に、捲った制服の袖から伸びる逞しい腕には男として羨ましい筋肉。

「ありがとうございます。助かります」

「よし、じゃあ行こうか」

先輩が自転車を引いて歩き出したので、斜め後ろをついていく。俺1人のために迎えに来てくれるなんて、良い人だ。学校の印象がだだ上がりする。

「歩いて20分ぐらいかかるから、ついでに学園の説明でもしておこうか」

「お願いします」








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bkm







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