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「それじゃあ、先輩の藤寮生は手を上げてー!」

幼児に点呼を取るようなテンションで、間広先輩が高く手を上げた。すると見た顔の人たちが数人苦い顔でならう。入学式の日に挨拶した寮の先輩たちだ。

「はい、君たちは僕の権限でしばらく動けません。大人しく見送ってね〜」

自分の管轄の生徒をフリーズさせる、手助けってそういうことか……!これで見張りの3分の1は動けなくなったけれど、まだ10人程度残っている。それを上手くかわして、間広先輩の後ろから桐嶋が駆け込んだ。

「堰ー!どこだー?」

「桐嶋ここ!」

捕まった1年に片っ端からタッチして解放しつつ、声に反応してこちらに向かってくれる。仲間を集めてきたのか他にも解放役の人が居るみたいで、藤寮生以外の先輩警察を上手く翻弄してくれていた。こうなったら広い牢屋は機能しない。

「よしタッチ!2人ともすぐ逃げろ」

「たけるくんは?」

「まだ解放されてない奴居るから後でな!」

言うが早いか牢屋内で逃げ惑う残りの1年の元へ走って行った。

「俺たちも行こう」

「……はい!」

混雑の少ない出口へ向かって走る。出た所に人が見えるけれどあれは……野中先輩だ。敵か?味方か?一か八かでそのまま正面突破しよう。

「ここであったが100年目!なんつって!味方だから警戒せずどうぞ」

ひらひら、と手を振って見送られた。先輩の先に居る人たちはもしかしてフリーズされてる?

「あ、それもうすぐ動き出すよ」

時限式!







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