38
複数人がルールとして良いのかは分からなかったけれど、今までの緩さから大丈夫だろうと判断しての「みんな」だ。もしダメなら誰か一人を選ばせてもらえば良い。
係の人はぱちぱちと目を瞬いて、はっとした顔をすると次に両手を叩いてぱちぱちと鳴らした。

「おおこれは大団円ですね!入学間もない1年生がこのように仲良くなれる志常学園に、ぜひ入学をご検討ください!」

突然PRが入って会場が笑いと拍手に包まれる。全部係の人が持っていってしまったな。この流れで複数人の借り人は承認されたものの、みんなで仲良く最下位に並ぶことになった。ごめんねと謝っても怒る人は誰も居なくて、良い友達を持てたな、と改めて思える。
余談だけれど、イレギュラーばかりだった今回を受けて、借り物競走の借り人に対するルールは翌年から幾つか足されることになった。

「なんか俺まで入れてもらってお邪魔しました」

気まずそうに前川が去って行く。健助も退場してすぐにどこかへ行ってしまった。結局ぐるぐるバッドは大丈夫どころか得意そうだったし、網潜りもパン食いも困った様子はなかったように思うけれど、彼は何が気になっていたんだろう。

「侑哉の借り人、ちょっと期待しちゃった」

「嬉しかったです」

蕗口と葉桜は、この後台風の目で対決するらしい。

「俺の方こそ、びっくりしたけど嬉しかった。次も頑張って」

「任せて」

「頑張ります!」

言葉通り、二人はそれぞれ長い足と小柄な体を活かしてチームを引っ張って、大活躍ですごく良い勝負だった。





prev next

bkm







.
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -