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席に戻るなり桐嶋はペットボトル半分ほどの麦茶を一気に飲んだ。全部飲み干す勢いだったけど、飲み過ぎも良くないって聞くし、ちゃんとセーブしてえらい。

「塩飴も舐めとく?」

「うん!サンキュー!」

お茶と塩飴は熱中症対策として学園の支給品で、積極的にとるように言われている。去年まではここまでされなかったらしく、生徒会長が働きかけたんじゃないかと噂だ。その生徒会長は相変わらず忙しそうにあちこち動いていて、見かけるたびに違う場所で違う人と話をしていた。いつ休んでいるんだろう。

「なに見てんの?」

「大きいプログラム。でも遠くてあんま分かんない」

ちょうど張り出されたプログラムに目をやったらそこに生徒会長が居たので、嘘ではない。別に生徒会長を見ていると言ってもよかったんだけど。

「桐嶋は次何出るの?」

「組体」

クラス演技なので、もちろん俺も一緒だ。

「早く終わらないかな」

ぼそっと呟いた桐嶋に思わず「えっ」と声を上げてしまった。運動ならなんでも好きかと思っていたけど、そういうわけではなかったんだな。他の種目と違ってテンションが低いのは気のせいじゃなかったのか。

「別に嫌いじゃないんだけど、ポーズ決めてしばらくキープしなきゃだろ?あれ苦手」

練習の時はそんなこと言ってなかったものの、確かにカウントを待てずに注意されることが何度かあった。「溜め」とか「留め」とか、じっとしてるのが苦手らしい。

「走る方がすっきりする」

それはちょっと分かる。団体演技はすっきりというより、達成感だもんな。





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