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「新入生諸君、入学おめでとう。保護者の皆様……」

今、少し緊張して学園長の挨拶を聞いている。
無事に入学式を迎えることができたこの日から、いよいよ学園での生活が始まる。
残念なことに、直前のクラス分けで健助とは離れてしまった。俺が1組で健助が2組。隣のクラスを伺えば黒いフードですぐ分かる。式の前にどうするのか聞いたら、そのまま出席して注意されたら帰ると言っていたので、まだ注意は受けていないらしい。そもそも志常学園は頭髪などの身だしなみには厳しくしていない様子だ。学園長先生の挨拶に「多様性」という言葉が組み込まれていたから、そういうことなんだろう。

「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。在校生を代表し、歓迎の意を表したいと思います」

来賓、PTAの挨拶と続いて、在校生代表で生徒会長が壇上に立った。黒髪をさらりと左右に流して、額と耳が出ているので清潔感がある。
たとえば、俺が額を出せるほど理解してもらえたら。

「皆さんはこの学園で何を成し遂げたいですか?」

直接聞かれたような錯覚を覚えてどきりとした。生徒会長は新入生1人1人に目を向けているようで、ちょうど俺の方を見たからだった。

「先生方、もちろん私たち先輩も、その目標を精一杯サポート出来ればと思っています。皆さんは今日よりこの学園の仲間です。共に良い学園生活を作り上げていきましょう」









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