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「なんか思ったより大ごとだった感じ?」

そのまま解散の流れかと思いきや、野中先輩は聞こえなかった振りをしてくれなかった。誰かに頼まれたことの全容を知らないのは不安が残る。危機管理的には正しいのかもしれない。
曖昧に頷いてなんて答えようか考えていると、この場を離れかけていた根津先輩が体半分だけ振り返った。

「余計なことは気にするな」

……巻き込まれるのが心配だから言ってるんだよな?少し冷やっとする言い方だったけれど、野中先輩はやれやれという感じでオーバーに首を振って苦笑している。返事を待たずに今度こそ離れて行った根津先輩の背中に声をかけて、俺たちに手を振ってくれた。

「はいはい分かりましたー。んじゃま、2人とも後でね」

あっさり引き下がったところを見るとちょっと気になっただけ、って感じだろうか。
そもそも聞いた話によると、生徒会長は1年の時から真面目で正義感が強く心優しいことで有名で、どんな些細な悩みでも聞いてくれるし学園の事件を全て把握している。……とまで噂されてるらしい。これを本気にするなら会長の耳に入っていること自体そこまで不思議ではないはず。ただし根津先輩が関わっていなかったら、かな。
今度聞かれたら根津先輩より先に生徒会長に相談したってことにしておこう。

「俺たちも一旦部屋に戻ろう」

「ああ」

部屋に戻りながらトイレのうめき声の人のことを言うべきか考えていた。まずは健助に言ってみようか。





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