意外なほど盛り上がったウインクゲームは、惜しくも残り１０人ぐらいで犯人発見となってしまった。その犯人役の蕗口の大健闘に拍手が沸き起こる。

「おつかれー！」

「俺ときめいちゃったんだけど……」

「まさかこんなに恐ろしいゲームだったとは」

聞こえてくる感想がちょっと面白くて、マスクで口元を隠して耳を澄ました。ウインクなんてされ慣れている人の方が珍しいだろうから免疫がないのも仕方がない。何かのタイミングでできるかどうか話題に上がることはあっても、日常的にすることなんてまあ無いと思う。蕗口の手慣れた感じが謎だけど、器用だからかな。

「アイドル？アイドルなのか？」

「ナイスウインク！」

「よっ！アイドル研究生蕗口」

妙な声援に気を悪くした様子もなく、蕗口は「握手券ならぬウインク券買ってね」とウインクと共に軽口で返している。さすがだなあ。
この流れで次は何かと思えば、男子校なのにフォークダンス（オクラホマミキサー）をするらしい。ブーイングの中音楽が鳴り始めて問答無用で隣の人と手を組まされた。ふわっとしか踊り方を覚えていなかったので、お辞儀して、ただ手を組んで歩くだけな感じ。覚えていないのと照れ臭いのと、なんで男同士でって反発かな、周りも似たような雰囲気だった。
ただ知らない人も知ってる人もどんどん相手が代わっていくのはなんだか面白い。慣れてきて踊りもなんとなくできるようになってくる。