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「全部は無理だな。頭だけとか?」

「一等星と同じやつ繋いだら大三角ができるってか!」

沈黙したチャットが再び賑やかになる中、流れていくログを遡ってクイズの答えと問題の掲示場所を照らし合わせる。アルタイルの「あ」、デネブの「で」、ベガの「べ」、頭文字がこの3つの答えをそれぞれマップ上に当てはめていき、線で繋ぐ。デネブ、ベガを繋いだ直線からアルタイルの方向、その先に記されている場所は。

「入口!」

このキャンプ場の入口、とは言っても立て看板がしてある程度の広場のような所だけれど、盲点だった。無意識に除外していたかもしれない。
チャットに答えを流し、とりあえず3人で向かう。他のメンバーもすぐ向かうと返ってきた。走らず徒歩だったけれど、たまたま近い距離に居たので一番にたどり着いた。

「よーお。お前らか」

退屈そうに切り株に腰掛ける金剛先生がいた。その手の下敷きになって、ゴール、と簡素に書かれた画用紙がちらついている。

「ゴール、ですか?」

「ゴールですよ、と」

ほれ、と画用紙を掲げて見せられてもイマイチ達成感がないのはなぜだろう。先生の様子に気が抜けた、と言ったら失礼だろうか。
先生は俺たちを見てよしよし、と頷いている。たぶん俺が一人ではないことを確認したかったんだろう。隣の切り株に並んで腰掛ける未来は回避できたみたい。





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