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お礼を言うと、下向きにカーブしていた口がゆるく上向きに変わった。それと一緒にぐーっとお腹の鳴る音。

「落ち着いたら腹減った」

「あはは、俺も」

施設内で自販機が幾つか置かれている中に、お菓子やアイスなんかが売っているのがあったと思うから後で寄ってみようかな。あれは普段買う物より割高だけど、なんとなくわくわくする。ただ買うのなら先生に見つからないようにしないといけないけれど。
健助に提案しようと口を開いたところで、入口の扉もがらがらと開いて太朗くんが戻ってきた。

「お待たせ。先生にはちゃんと伝えたから、安心して眼帯貼り直そう。とりあえず2階に上ろうか」

事務所はスタッフさん達の宿泊施設や救護室も兼ねていて、いくつか部屋があるらしい。問題を起こした人をあまり奥へは通さないから、2階なら鉢合うことはないだろう、と太朗くんの気づかい。

「奥の階段を上って2つ目の部屋が空いてるはずだから、先行っててくれるかな。後からお茶持って行くからね」

さっきのことがあるからか、今回は手伝いを頼まれなかったし買って出ることもしなかった。素直に従って階段を上がる。言われた2つ目の部屋は内開きのドアが開いていてすぐ分かった。簡素な二段ベッドとテーブルが置かれた室内は、なんだか寮に戻ったような気分になって、隅に重ねられた座布団を持ってきて座ると途端に眠気に襲われる。

「眠いのか?」

「うん……大丈夫……」








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